自動運転、いざ解禁へ!進む法改正、肝となる「緩和基準」とは?

無人サービスや安全技術ガイドラインも続々





自動運転の解禁に向け、制度面の動きが活発化している。道路交通法や道路運送車両法の改正をはじめ、車両に求められる保安基準の緩和や無人移動サービスのガイドライン策定など、この1年余りで自動運転実現に向けた舞台が一気に整い始めた。こうした制度環境の整備により、実証はもちろん実用化も加速度的に進んでいくものと思われる。







解禁に向けカウントダウンが始まった自動運転。今回は、これら制度面の動きを追い、自動運転を取り巻く環境がどのように変化するのかまとめてみた。

■道路交通法の改正内容は?

自動運転技術の導入を視野に入れた改正道路交通法(道路交通法の一部を改正する法律案)が2019年5月28日、衆議院で可決・成立した。自動運転の技術の実用化に対応した運転者の義務などが盛り込まれており、自動運転レベル3(条件付き運転自動化)の解禁を目指す内容となっている。

改正法の要点は①自動運行装置の定義等に関する規定の整備②作動状態記録装置による記録等に関する規定の整備③自動運行装置を使用して自動車を運転する場合の運転者の義務に関する規定の整備―の3点。

特に重要なのが③で、道路交通法では原則的に携帯電話で通話したり画像を注視することが禁じられているが、いつでも人が車両の運転を代われる状態であることなどの条件を満たせば、この禁止事項を適用しないこととしている。

【参考】関連記事としては「改正道路交通法が成立 自動運転レベル3解禁へ」も参照。

■道路運送車両法の改正内容は?

自動運転に対応する法整備を進めるため、「道路運送車両法の一部を改正する法律案」が2019年3月8日に閣議決定され、同年5月17日に参議院で全会一致のもと可決され、成立した。自動運転車などの安全な開発・実用化・普及を図りつつ、設計・製造過程から使用過程にわたって自動運転車の安全性を一体的に確保するための内容が盛り込まれている。

改正法では①型式指定制度に係る是正命令等の創設②保安基準対象装置への自動運行装置の追加③分解整備の範囲の拡大④点検整備に必要な技術情報の提供の義務付け⑤基準適合性審査に必要な技術情報の管理に関する事務を行わせる法人に関する規定の整備⑥型式指定制度に係る罰則の強化⑦自動車の特定改造等に係る許可制度の創設―などが盛り込まれている。

②における「自動運行装置」は、自動運行装置は運転者の認知・予測・判断・操作に関する能力の全部を代替する機能を持ち、その機能の作動状態の確認に必要な情報を記録するための装置を備えたシステムを指すこととなっている。

■道路運送車両の保安基準「第55条」とは?

道路運送車両の保安基準の第55条は道路運送車両に対する基準緩和に関するもので、遠隔型を含む自動運転システムの公道実証実験が実施しやすくしている。

この制度を活用し、自動運転開発を手掛けるソフトバンク子会社のSBドライブは2019年6月、ハンドルがない自動運転バスの公道実証の実施に向け、基準緩和認定のもと改造バス車両のナンバーを取得したことを発表している。

【参考】保安基準に関するSBドライブの実例については「ハンドルのない自動運転バス、ソフトバンク子会社がナンバー取得 SBドライブ」も参照。

■無人サービスのガイドラインとは?

国土交通省は2019年6月、「限定地域での無人自動運転移動サービスにおいて旅客自動車運送事業者が安全性・利便性を確保するためのガイドライン」を公表した。無人自動運転移動サービスの遠隔監視・操作者には第二種運転免許の保持などが義務付けられ、事業者には遠隔監視・操作者の指導監督を適時行うことなども求められている。

具体的な対応すべき事項としては、①交通ルールを遵守した運行の安全の確保②旅客の安全の確保③点検・整備等による車両の安全の確保④運行前の点検の実施の確認⑤非常時等の対応、連絡体制の整備⑥事故の記録⑦運行の記録⑧事故やヒヤリハット事例を踏まえた対応⑨運送実施のための体制整備⑩旅客の利便性の確保―の10項目が設けられた。

②では、遠隔監視の場合でもカメラを通じて扉を安全に開閉する仕組みや、乗客に対してシートベルトの着用を呼び掛けるシステムなどを必要としている。③では使用過程の車両の安全確保の観点から、セキュリティソフトのアップデートなどに適切に対応できるようにすることが必要とされている。

【参考】無人自動運転移動サービスのガイドラインについては「ついに実現へ!レベル4の自動運転タクシー、限定地域での運行ガイドライン発表」も参照。

■自動運転車の安全技術ガイドラインとは?

国土交通省は2018年9月、自動運転レベル3、4の自動運転車が満たすべき安全性に関する要件を明確化した「自動運転車の安全技術ガイドライン」を発表した。自動運転の早期実用化に向け、国際基準策定前の段階においても開発・実用化を促進する狙いだ。

ガイドラインには①運行設計領域(ODD)の設定②自動運転システムの安全性③保安基準の遵守等④ヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)⑤データ記録装置の搭載⑥サイバーセキュリティ⑦無人自動運転移動サービスに用いられる車両の安全性(追加要件)⑧安全性評価⑨使用過程における安全確保⑩自動運転車の使用者への情報提供―の10項目が盛り込まれている。

④では、システムの作動状況を運転者や乗員に知らせるためのHMIの要件を示しており、自動運転システムの作動状況を運転者が容易かつ確実に認知することができる機能や、必要に応じてシステム側が運転者に警報を発する機能などを求めている。⑥では、自動運転車のハッキング対策などのサイバーセキュリティを考慮した車両の設計・開発を行うことを求めている。

【参考】自動運転車の安全技術ガイドラインについては「国土交通省、自動運転レベル3とレベル4に関する安全技術ガイドライン作成」も参照。

■【まとめ】自動運転早期実現へカウントダウン 2020年に大きな動き

国会では道路交通法と道路運送車両法の2大道路交通関係法規の改正が決議され、国土交通省は自動運転の実証などに向けた具体的な指針を次々と示している。

このほかにも特区制度を活用した取り組みなども進展しており、国家戦略の下で自動運転実現に向けた環境は着々と整備されている印象で、2020年には大きな動きが見られそうだ。

日本は米国などに比べ自動運転をはじめとした大きなイノベーションに対し慎重になりがちだが、思っていたよりも早く自動運転が実現しそうな雰囲気が漂い始めている。今後の進展にも期待したい。







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