「自動運転」がテーマのETF、構成銘柄や騰落率は?ARKQ、IDRV、DRIVを解説

ARKQとIDRVで「テスラ」が比率1位



新型コロナウイルスで「コンタクトレス」に注目が集まり、自動運転車への関心度はますます世界で高まっている。そんな中、海外の個人投資家の間では「自動運転」をテーマにしたETF(上場投資信託)で資産運用を始めた人も少なくない。


今回は、自動運転やロボティクスがテーマのETFとして米国市場で上場している「ARKQ」「IDRV」「DRIV」に焦点を当て、構成銘柄を紹介していく。(※ちなみに現時点では、いずれのETFも日本の証券会社では取り扱いがないようだ)

■ARKQ(ARK Autonomous Technology & Robotics ETF)
出典:NASDAQ公式サイト

ARKQの銘柄トップ10は以下の通りだ。

1位(11.00%)テスラ
2位(4.85%)マテリアライズ
3位(4.38%)トリンブル
4位(4.34%)百度(バイドゥ)
5位(4.22%)JDドットコム
6位(4.21%)ディア
7位(3.43%)アルファベット
8位(3.37%)クラトスディフェンス&セキュリティー・ソリューションズ
9位(3.23%)ナノ・ディメンション
10位(3.11%)台湾積体電路製造

構成銘柄としては、テスラや百度、アルファベットなど、自動運転業界における有力企業に並んで、計測機器メーカーや半導体企業も含まれている。


例えば3位のトリンブルはアメリカの計測機器メーカーで、GPSやレーザー、光学・慣性技術などを活用した位置情報サービスを提供している。日本企業のニコンと合弁企業を設立しており、自動運転システムや自律走行システムに役立つ技術の開発を進めている。

5位のJDドットコムは中国のネット通販大手で、物流倉庫の無人化を目指し、商品のピッキングからトラックへの積み込みまでロボットが担うシステムの開発などを手掛けている。

10位の台湾積体電路製造は台湾の半導体メーカーで、自動運転車向けのマイコンの開発を行っている。

■IDRV(iShares Self-Driving EV and Tech ETF)
出典:NASDAQ公式サイト

IDRVの銘柄トップ10は以下の通りだ。


1位(5.19%)テスラ
2位(4.15%)サムスン電子
3位(4.06%)アップル
4位(4.04%)インテル
5位(3.83%)アルファベット
6位(3.78%)クアルコム
7位(3.68%)トヨタ自動車
8位(3.60%)エヌビディア
9位(3.45%)アドバンスト・マイクロ・デバイセズ
10位(3.34%)ゼネラル・モーターズ

ARKQよりも自動車メーカーの比率が多めだ。そのうち1社は日本のトヨタ自動車で、MaaSサービス向け自動運転EVとして「e-Palette」を発表しているほか、一般車向けの自動運転技術の開発も日米の両拠点で力を入れている。

半導体企業も多い印象だ。6位のクアルコム、8位のエヌビディア、9位のアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の3社は、いずれも自動運転向けチップの開発に力を入れており、AMDはテスラと共同で自動運転AI向け半導体を開発していることが過去に報じられた。

■DRIV(Global X Autonomous & Electric Vehicles ETF)
出典:NASDAQ公式サイト

DRIVの銘柄トップ10は以下の通りだ。

1位(3.32%)マイクロソフト
2位(3.25%)アルファベット
3位(3.17%)インテル
4位(3.12%)クアルコム
5位(3.10%)アップル
6位(2.94%)テスラ
7位(2.92%)エヌビディア
8位(2.53%)トヨタ自動車
9位(2.04%)マイクロン・テクノロジー
10位(1.97%)Cisco Systems Inc/Delaware

ARKQとIDRVではテスラが比率が最も高かったが、DRIVでは比率がやや低めだ。1位のマイクロソフトは、最近ではVWと提携して自動運転開発で協業したほか、クラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」の自動運転領域での展開に力を入れている。

9位のマイクロン・テクノロジーはアメリカの半導体メーカーだ。自動運転向け画像チップを開発するMobileyeが2019年、自動運転プラットフォームの開発で同社のメモリソリューションを採用したことを発表している。

■【まとめ】「平均点以上」の自動運転関連ETF

ちなみに各ETFのこの1年の騰落率(2020年2月21日終値と2021年2月19日終値で比較)は、「ARKQ」が126.9%(42.68ドル→96.86ドル)、「IDRV」が65.7%(28.44ドル→47.15ドル)、「DRIV」が80.73%(15.47ドル→27.96ドル)となっている。

この期間のNASDAQ総合指数の騰落率が44.8%(9,576.59→13,874.46)であることを考えると、自動運転関連企業の株価の伸びが米国の株式マーケットにおいて「平均点」以上をとっていることが分かる。今後も3つのETFがどのような値動きをしていくのか、注目だ。

※編注:この記事は特定の株式銘柄・ETFへの投資を推奨するものではありません。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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