丸紅とZMP、空港での自動運転バス実用化へ「最終実験」 合弁会社AIROが中部空港で

来年度の実用化を目指した技術検証



自動走行バス「RoboCar Mini EV Bus」=出典:ZMPプレスリリース

自動運転ベンチャーのZMP(本社:東京都文京区/代表取締役社長:谷口恒)と丸紅株式会社(本社:東京都中央区/代表取締役社長:國分文也)の合弁企業AIRO株式会社は、中部国際空港の制限区域内で2019年12月16日から3日間、乗客の輸送を想定した自動運転走行バスの実証実験を実施する。

この実証実験は国際線バスラウンジと航空機駐車場の間である「空港着誘導路」を横断走行する形で行われる。制御ターミナルに設置した広域カメラがリアルタイムで航空機情報を認識し、その情報をAI(人工知能)が解析してバスが自動運転走行を行うというものだ。こうしたシステムは世界初のものだという。


報道発表では、リモートコントロールセンターから車両情報や周囲の状況を管理し、遠隔操作によってバスの走行開始やドアの開閉などを行うことにも触れられている。AIROはこの実証実験を、空港制限区域内で来年度に実用化予定の自動運転技術の「最終実験」と位置付けており、今までより実運用に近い技術とサービスの検証を行うとしている。

実証実験に使われる車両は、2019年3月に中部国際空港制限区域内で実証実験が行われた時と同じZMP製の「RoboCar Mini EV Bus」だ。

■自動運転ベンチャーのZMP、労働力不足の空港運営に貢献

ZMPはロボティクス技術に強みを持つ自動運転開発ベンチャーで、人の移動には「RoboCar」、モノの移動には「CarriRo」など、多くのプロダクトとサービスを開発・販売している企業だ。

空港制限区域内での自動運転実証は自社開発の車両を使って2018年から行っており、同年に国土交通省のプロジェクト実施者として成田国際空港の制限区域内で鴻池運輸と共同で実証実験を実施した。この取り組みは成田国際空港初の取り組みとして話題となった。


AIROの設立は2018年12月で、2019年1月にはAIROとして成田国際空港の制限区域内で実証実験を行っている。こうした積極的な取り組みから、空港制限区域内で自動運転車の実用化と導入に向けて準備が着々と進んでいることがうかがわれる。

空港内での自動運転走行バスが実用化されれば、労働力不足が課題となっている空港運営に大きく貢献することができる。自動運転タクシーの実証実験などでさらに自律走行技術に磨きが掛かるZMPに今後も注目だ。


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