AIや自動運転…”知能化技術”、投資有望性1位 投資信託も続々

投資マインド、レベル3解禁で一層高まりそう



投資家たちはいつも成長市場を探している。早期に有望スタートアップやベンチャー企業に投資すれば、その時期が早ければ早いほど、キャピタルゲイン(売却益)は大きくなる。VC(ベンチャーキャピタル)やCVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル)にとっても、まさにこのアンテナの感度が投資成果を大きく左右する。

ではいまの投資家やVCはどの領域に目を付けているのだろうか。


■AI・自動運転車などの「知能化技術」の有望性

こうした点の参考になるのが、投信投資顧問会社のスパークス・アセット・マネジメント株式会社(本社:東京都港区/代表取締役社長:阿部修平)がこのほど発表した「日本株式市場の振り返りと展望に関する意識調査2019」だ。

全国の20~79歳の投資経験者1000人の回答を有効サンプルとして集計・分析したもので、この調査の中で2020年以降に長期的な成長が期待できる分野について予想を聞いている。まずはその順位を紹介していこう。

1位:知能化技術(AI・自動運転車など) 55.3%
2位:ロボット工学(家庭用・産業用ロボットやドローンなど) 46.9%
3位:環境エネルギー(水素燃料など) 40.5%
4位:先進医療(再生医療・遺伝子治療など) 31.5%
5位:バイオ・創薬 30.2%

1位となっているのがAI(人工知能)や自動運転車を含む「知能化技術」で、実に回答者の半数以上がこの領域が有望であると予想している。2019年はAIを使った自動運転タクシーの商用サービスや実証実験が日本国内外で話題になり、そうしたことに有望性を感じた投資家が多かったとみていいだろう。


ちなみに知能化技術に関しては下記の表の通り、20代から70代の全世代で1位となっている。

出典:スパークス・アセット・マネジメント社プレスリリース

またこの調査では2019年に経済ニュースで注目していたキーワードについても質問している。その結果、「AI」が1位となり、「自動運転技術」もトップ10入りを果たしている。

■自動運転に特化したファンドも続々登場

こうした投資マインドの現状を受け、資産運用会社も積極的に自動運転に特化したファンドを組み、投資信託として販売されるケースが目立つようになっている。

例えばその一つが、三井住友DSアセットマネジメントの「グローバル自動運転関連株式ファンド」だ。公式サイトではファンドの概要として「自動運転技術の進化・普及により、業績拡大が期待される日本を含む世界の企業の株式に投資し、信託財産の成長を目指して運用を行います」と説明されている。


三菱UFJ国際投信の投資信託「eMAXIS Neo 自動運転」にも注目だ。主な組入銘柄としては、米EV(電気自動車)大手テスラや自動車メーカーのフォードなどの名前が連なっている。詳しくは各投資信託の公式紹介ページも参考にしてほしい。

▼グローバル自動運転関連株式ファンド(為替ヘッジなし)
https://www.smam-jp.com/fund/top/1253414_1551.html
▼eMAXIS Neo 自動運転
https://www.am.mufg.jp/fund/253585.html

■【まとめ】レベル3解禁で投資マインドは一層向上

日本国内では今年2019年、名古屋大学発スタートアップのティアフォーが、事業開発段階の「シリーズA」における資金調達額が累計で100億円を超えたことを発表している。トヨタも自動運転領域において積極的な投資姿勢を鮮明にしている。

日本ではいよいよ条件付きの自動運転が可能となる「レベル3」が解禁される。このことによって自動運転の有用性に対する認識が広がっていけば、自動運転領域への投資マインドは一層高まることは確実と言えそうだ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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