自動運転車が乗れる国が9月急増 イギリス・クロアチア・スペインと続々

9月に世界中で進展



2026年9月に入り、自動運転車に乗れる国と都市が世界的に急増した。米国ではGoogle系の自動運転開発企業ウェイモ(Waymo)の14都市展開、Amazon傘下の自動運転開発企業Zoox(ズークス)のラスベガスのハリー・リード国際空港への乗り入れが開始された。また英国、クロアチア、スペインでも自動運転車の解禁が相次いでいる。


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■「自動運転車に乗れる国」が9月に急増

9月のわずか10日間で自動運転車に乗れる国と都市がこれほど増えたことは、これまでの自動運転タクシー市場の展開ペースからすれば異例だ。ウェイモやテスラが実績のある米国内での拡大を進める一方、英国、クロアチア、スペインでは「国として初めて」を冠する出来事が相次いだ。単発の技術デモではなく、複数の国と企業が同時多発的に動いたことこそが、9月の展開を際立たせている。

6つの出来事を時系列で並べると、
・9月1日にウェイモが米国14都市体制に拡大
・9月3日にテスラのサイバーキャブがオースティンでデビュー
・同日3日にWayveとウーバーがロンドンで英国初の自動運転ライドを開始
・9月5日にZooxがラスベガスの空港へ乗り入れ開始
・9月10日にPony.aiとVerneがクロアチアで欧州初の完全無人試験走行に着手
・同日10日にWeRideとウーバー、AVOMOがスペインのマドリード地域で自動運転レベル4の許可を取得
自動運転タクシー市場において「国として初めて」という実績が、10日間で3件積み上がったことは、規制当局の対応が世界的に加速している証左と言えるだろう。

【自動運転ラボの視点】
1都市から始まったロボタクシーが10日間で複数の国と都市に広がった事実は、自動運転タクシー市場が実証段階から普及段階へ移行しつつあることを示している。規制対応の速さが事業拡大のペースを左右する構図が、各国で鮮明になってきたと言えるだろう。

■ウェイモが14都市体制へ、テスラのサイバーキャブとZooxも動いた米国内の展開

米国内では、既存プレイヤーの拡大と新規参入が同時に進んだ。ウェイモは9月1日、デンバー、サンディエゴ、タンパの3都市で新たに一般向け配車サービスを開始し、展開都市を14都市に広げた。稼働台数の詳細は公表されていないが、同社は2026年内にさらなる車両追加を計画しているとされる。

同3日には、テスラの完全自動運転タクシー車両サイバーキャブがオースティンで正式デビューした。座席は2席のみでハンドルやペダルを備えず、既に有料での乗車受付を始めている。ただし展開範囲はオースティン1都市にとどまっており、14都市に展開するウェイモとの規模差は大きい。


5日には、Amazon傘下のZooxがラスベガスのハリー・リード国際空港への乗り入れを開始した。ハンドルもペダルも持たない専用設計の車両を投入し、荷物受取所付近での乗降を可能にした。同社は7月に米連邦当局から、2年間で最大2500台を展開できる特例の承認を得ている。

【参考】関連記事としては「Amazon傘下のZoox、自動運転タクシーの商業化へ 2500台規模で」も参照。


■英国とクロアチアで自動運転ライドシェアが解禁

欧州でも、9月に入って「初」の実績が相次いだ。9月3日、英国の自動運転開発企業Wayveと配車大手ウーバーは、ロンドンで英国初となる自動運転ライドを開始した。全電動のフォード・マスタング・マッハEにWayveの運転支援システムAI Driverを搭載し、TfL(ロンドン交通局)が認定した訓練済みのセーフティドライバーが同乗する体制での運行である。追加料金は発生せず、通常のウーバー運賃で利用でき、開始前から14万人超のロンドン市民がアプリ上で利用を希望していたという。

10日には、中国系自動運転開発企業Pony.aiと現地パートナーVerneが、クロアチアの首都ザグレブで欧州初となる完全無人の試験走行を始めた。対象は招待された乗客に限られ、一般向けの有料サービスではない。走行区間はVerne本社とザグレブの中心業務地区、フランジョ・トゥジマン空港を結ぶ22キロで、両社は4月から有人の商用サービスをウーバーのアプリ経由で提供してきた実績がある。

■スペインが国家初の自動運転レベル4許可

9月10日には、中国系自動運転開発企業WeRideとウーバー、現地パートナーAVOMOの3社が、スペインの交通総局からレベル4の自動運転乗用車に関する国家初の運行許可を取得した。対象はマドリード地域で、初期段階では車両20台を配備し、地図作成やルート検証などの準備を進める。商用サービスの開始は2026年末を目指しているという。

WeRideの自動運転車両GXRについて、同社の最高財務責任者は今回の許可を「世界で9件目の許可」であり「欧州における同車両への初の国家承認」だとコメントしている。技術面だけでなく、各国の法整備が自動運転車の実用化を後押しし始めている点は見逃せない。

【参考】関連記事としては「欧州初の自動運転レベル4承認へ WeRideとUberがスペインで」も参照。

欧州初の自動運転レベル4承認へ WeRideとUberがスペインで

■9月に急増した「自動運転車に乗れる国」、次に続くのは東京か

米国、英国、クロアチア、スペインと、9月だけで自動運転車に乗れる国と都市が急増した一方、日本の歩みは慎重だ。

東京では、複数の陣営がロボタクシーの実用化を競っている。2026年3月には国内自動車大手の日産、Wayve、ウーバーの3社もロボタクシー分野での協業に関する覚書を締結し、8月13日にはウーバーが東京のタクシー事業者日の丸交通と運行パートナーシップで合意した。Wayveの運転支援システムAI Driverを搭載した日産リーフを用い、2026年後半の試験運行開始を目指している。当初は安全運転手が同乗し、段階的に体制を広げる計画だ。

最も規模が大きいのが、タクシー配車アプリ大手のGOとウェイモ、大手タクシー事業者日本交通による協業だ。3社は2026年9月15日、2027年中の運行開始を目指すと発表した。東京都内では2025年から試験走行を重ねており、将来的には都内主要エリアで100台規模への段階的な拡大を目指す。ドライバーが同乗しない完全無人でのレベル4運行を計画しており、実現すれば国内初の完全無人タクシー運行となる。正式な運行開始時期は、安全性の確認と必要な許認可の取得を経て決定するとしている。

一方、テスラは2026年3月、日本法人の社長が自動運転レベル2に相当する運転支援機能FSDについて、2026年内の導入を目指す方針を明らかにした。完全自動運転ではなく、具体的な導入日程はまだ発表されていない。

英国・クロアチア・スペインが立て続けに解禁に踏み切る中、東京の年内始動が予定通り進むかどうかが、日本の自動運転タクシー市場にとって最初の試金石になるだろう。9月に世界で急増した「乗れる国」に、日本がいつ名を連ねるのか。その答えが問われている。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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