欧州初の自動運転レベル4承認へ WeRideとUberがスペインで

スペイン全土に適用



スペイン交通総局(DGT)が、自動運転レベル4の国家レベル許可を欧州で初めて承認した。自動運転開発企業WeRide(ウィーライド)、配車サービスを展開するウーバー(Uber)、自動運転車両の運行を手掛けるAVOMOの3社が取得し、首都マドリードでの実証走行が可能になった。


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■スペインで欧州初の自動運転レベル4許可

スペイン交通総局は2026年9月10日、自律走行車規制ES-AVに基づき、自動運転レベル4の国家レベル許可を初めて発行した。取得したのは、自動運転開発企業WeRide、配車サービスを展開するウーバー、自動運転車両の運行を手掛けるAVOMOの3社だ。

AVOMOは米国のMoove Cars Group傘下の企業で、米テキサス州オースティンと米ジョージア州アトランタで自動運転車両約400台を運行してきた実績を持つ。今回のスペイン進出により、AVOMOの運行網は欧州にも広がることになる。

今回の許可の大きな特徴は、都市や州の単位ではなく国全体に適用される点だ。欧州における自動運転レベル4の許可としては初めてのケースであり、今後の規制の広がりを見るうえで一つの節目になる。

【自動運転ラボの視点】
スペインの判断は、欧州における自動運転レベル4の規制モデルとして注目に値する。都市単位の許可が主流だった欧州で、国家全体を対象とする枠組みが先例となれば、他国の制度設計にも影響を与えるだろう。

【参考】関連記事としては「自動運転レベル4の定義とは?いつ実用化?」も参照。


■マドリードで始まるGXR車両20台の実証実験

今回の許可で走行するのは、WeRideの自動運転車両GXR20台である。マドリード地域の需要が高いエリアを中心に、地図の作成やルートの検証、運用準備のためのテスト走行を進める。各車両には運行スペシャリストが同乗し、当面は有人での監督体制のもとで実証を積み重ねる。

自動運転レベル4は、限定された条件下でシステムが運転を担い、緊急時の対応も基本的に人に頼らない仕組みを指す。今回の実証が計画通り進めば、自動運転タクシー分野で最大の関門とされる「無人」と「有償による商用化」という2つの壁を越えた形、正式なサービスが始まる見込みだ。

WeRideとウーバーは2026年6月2日、マドリードでの自動運転タクシー展開を発表していた。今回の許可はその続報にあたる。両社は準備が整い次第、今年末までに商業ロボタクシーサービスを開始する計画を示している。マドリードは、両社が2030年までに15都市で計画する自動運転タクシー展開のうち、4番目の都市に位置づけられる。

■スペイン全土での許可

自動運転レベル4の許可は、欧州や米国ではこれまで都市や州の単位で発行されてきた。英国のロンドンでは、ロンドン交通局が発行する私家用車運行免許のもとでウーバーと自動運転開発企業Wayve(ウェイブ)の車両が運行しており、対象はロンドンという都市に限られる。完全な無人走行に移るには、英国の陸運庁が新設する自動旅客サービス許可が別途必要になる見通しだ。


米国のラスベガスでは、米ネバダ州当局が自動運転タクシーの運行を認めており、許可の効力は州内にとどまる。これに対し、スペインが発行した今回の許可はスペイン全土に適用される国家フレームワークに基づくものであり、都市単位・州単位の許可とは一線を画す。

■WP29の世界統一ルール採択後に加速する各国の法整備

こうした動きの背景には、国連欧州経済委員会の自動車基準調和世界フォーラムWP29が2026年6月24日に採択した、自動運転システムに関する国際基準がある。この基準は、自動運転システムの安全管理や試験環境、性能監視などについて共通の要件を定めたもので、日本・米国・英国・中国・カナダ・欧州連合など主要な自動車市場が支持している。採択からおよそ1カ月後の施行が見込まれている。

国際基準の採択を受け、各国は自国の法整備を加速させている段階にある。スペインが自動運転レベル4の国家許可を欧州で初めて発行した背景にも、この流れがあるとみられる。自動運転タクシー市場を巡る国際的な規制環境は、今後さらに動きを速めていくだろう。

【参考】関連記事としては「自動運転レベル4の世界共通ルールが日本主導でついに決定」も参照。

自動運転レベル4の世界共通ルールが日本主導でついに決定

■欧州初のレベル4承認が示す自動運転タクシー市場の次のステージ

スペインが発行した欧州初の自動運転レベル4の国家許可は、WeRideとウーバーにとって欧州展開の足がかりとなる。マドリードでの実証が順調に進めば、今年末には欧州で商業ロボタクシーサービスが動き出す可能性がある。

都市単位・州単位の許可が主流だった自動運転タクシー市場に、国家レベルの枠組みという新たな選択肢が加わったことの意味は大きい。スペインの事例が他の欧州各国にどこまで広がるか、今後の自動運転タクシー市場の行方を見るうえで重要な指標になるだろう。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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