世界の「自動運転ロボタクシー」最新動向 さらに広がる日本との差

日本の追い上げは2028年か



Google系Waymoが展開している自動運転タクシー=出典:Waymo公式ブログ

世界の自動運転タクシー市場で、9月上旬に大きな動きが相次いだ。米Google系の自動運転開発企業ウェイモ(Waymo)は展開都市を14に広げ、週50万回規模の有料乗車をこなす体制を築いた。Amazon傘下のZoox(ズークス)はラスベガスで米国初となるハンドルなし車両の有料運行に踏み切り、中国配車大手DiDi(滴滴出行)も新型車「R2」による無人試験を北京と広州で始めている。

英国でも初の自動運転配車サービスを開始するなど、各社が無人化と有料化という節目を相次いで越える一方、日本ではまだ乗客を乗せる自動運転タクシーは走っておらず遅れを取っている。。


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■拡大を続ける世界のロボタクシー

自動運転タクシー市場においては、8月10日にZoox(ズークス)がラスベガスで米国初の有料無人運行を開始し、8月31日にはDiDi(滴滴出行)が北京と広州で新型車「R2」の無人試験に踏み切った。そして9月1日、ウェイモ(Waymo)が新たに3都市で一般向けサービスを開始し、展開都市は計14に達している。

9月3日には、英ロンドンでWayve(ウェイブ)とUber(ウーバー)による英国初の自動運転配車サービスが始まり、同じ日に米国のオースティンではテスラTesla)が新型車サイバーキャブ(Cybercab)の商用運行に乗り出した。わずか1カ月足らずの間に、米国・中国・英国という3つの地域で、それぞれ異なる企業が無人化や有料化という節目を越えたことになる。

共通しているのは、各社が「安全性の証明」から「収益化」へと軸足を移し始めている点だ。規制当局の許可を得て料金を取れるようになるかどうかが、次の競争の分かれ目になりつつある。日本ではウェイモが東京都内でのデータ収集走行を続けているほか、Wayveと日産、Uber、日の丸交通が年内の東京パイロットを目指しており、世界の動きは日本にも波及し始めている。

【自動運転ラボの視点】
米中英で無人化と有料化という異なる節目を同時に越え始めた。規制の壁を突破した企業から市場を制する構図が強まりつつあり、着々と進む東京パイロットを控える日本勢にとっても対岸の火事ではないと言える。

■ウェイモは14都市体制 週50万回の有料運行に迫る規模

ウェイモは、デンバー・サンディエゴ・タンパの3都市で一般向けサービスを開始している。いずれの都市も、事前にアプリへ登録していた数万人規模の利用希望者へ順次招待を広げていく方式を取っている。これにより同社が完全無人の乗車を提供する都市は計14となった。7月にラスベガス・デンバー・サンディエゴ・タンパの4都市で無人化を発表してから、約2カ月でその大半が一般開放にこぎ着けた形だ。


車両数は4,000台を超え、新型車「Ojai」を含むフリートで運行している。報道によれば週当たりの有料乗車数はおよそ50万回に達しており、年末までに週100万回という目標に向けて拡大を続けている。米国の自動運転タクシー市場では引き続き最大手の座を維持している格好だ。

■Zoox、ラスベガスで米国初「ハンドルなし有料」運行へ

Amazon傘下のZoox(ズークス)は、ラスベガスで初めて乗客から運賃を受け取る商用運行を始めている。ハンドルやブレーキペダルを持たない専用設計の車両で有料サービスを提供するのは、米国では初めての事例となる。

背景にあるのは、米運輸省道路交通安全局(NHTSA)が7月末に付与した商業免除だ。通常の車両安全基準の一部を満たさない設計であっても、2年間で年間最大2,500台まで運行できるという特例措置で、Zooxはこれを追い風に有料化へと踏み切った。運賃は基本料金に時間と距離を加味した仕組みで、想定より長いルートを走った場合でも追加請求はしないとしている。


Zooxはこれまでラスベガスとサンフランシスコ、オースティン、マイアミで無料の試乗サービスを提供し、累計で50万人を超える利用者を運んできた。有料化はまずラスベガスに限られ、サンフランシスコとオースティンでは引き続き無料での運行が続く。先行するウェイモを追う立場のAmazonにとって、今回の有料化は自動運転タクシー市場での存在感を高める重要な一歩と言える。

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■DiDi「R2」参戦、中国発ロボタクシーが北京・広州で無人化

中国配車大手DiDi(滴滴出行)の自動運転部門は、新型車「R2」による完全無人の乗客輸送試験を北京と広州の指定エリアで始めている。中国自動車大手GAC Aionと共同開発した車両で、米自動車技術会SAEが定める自動運転レベル4のソフトウェアとハードウェアを搭載する。利用者はDiDiのアプリから配車を予約できる。

R2は33個のセンサーと、3つの演算領域を統合した中央コンピューティング基盤を備え、中国の安全基準C-NCAPと欧州のEuro NCAPの両方で最高評価を得ているという。座席は後部を広く取った設計で、乗客が音声で空調や照明を操作できる機能も持つ。2026年1月の納車開始以降、広州・北京・深センなどで公道試験を重ねてきた延長線上に、今回の無人化がある。

■広がる日本と世界の差

世界では自動運転タクシー市場の拡大が加速しており、ウェイモ、Zooxなどが商用サービスを広げている。対する日本はまだ実証段階にとどまり、本格的な自動運転車の普及には時間がかかる。

世界との差は当面広がる可能性が高いが、トヨタが2028年に自動運転レベル2++、日産が同年3月に次世代ProPILOTの投入を掲げるなど、国内勢も具体的な工程表を示し始めた。2026年の動向は、追い上げに向けた助走と言える。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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