ロボタクシー欧州市場を奪う中国 Pony.aiが2,000台のロボタクシーを展開へ

黒字化しているPony.aiの躍進



中国の自動運転開発企業Pony.ai(ポニーエーアイ)が、欧州のロボタクシー市場で存在感を強めている。米配車大手Uber(ウーバー)との提携拡大により、欧州でクロアチア・ザグレブに続き新たに4都市、さらに中東地域にもロボタクシーを展開し、総数2,000台超を配備する計画が明らかになった。


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■中国Pony.aiが2,000台超のロボタクシーを欧州に展開

Pony.aiとUberは2026年8月14日(米国時間13日)、欧州における提携拡大を発表した。両社は欧州で2,000台超のロボタクシーを共同展開する計画で、既にサービスを提供しているクロアチア・ザグレブに加え、新たに欧州4都市を追加し、欧州全体で計5都市体制とする。あわせて中東地域への展開も計画に含まれる。追加する4都市の具体名や展開時期は、今後段階的に公表される見通しだ。

【自動運転ラボの視点】
中国発のPony.aiが欧州で数千台規模の展開を狙う動きは、実証段階から商用規模への移行を象徴する。Uberという既存プラットフォームを介した拡大戦略は、欧米の自動運転勢にとって競争環境の変化を映す一手といえるだろう。

■Pony.aiとUber、地域パートナーによる三者体制

提携の骨格は三者体制だ。Pony.aiがレベル4の自動運転技術とライダー体験、複数都市での大規模展開を通じて培った運用ノウハウを提供する。一方Uberは、予約・決済・カスタマーサービス機能を含む配車プラットフォームを通じた顧客接点を担う。そして日々の車両運用は、各市場で選定された地域のフリート事業者が担当する。ザグレブではVerneが車両を保有・運行しており、この体制が今後追加される4都市でも踏襲される見通しだ。

Pony.ai最高経営責任者(CEO)のJames Peng氏は「この提携拡大は、Pony.aiとUberのパートナーシップにおける重要な新局面だ」とコメントした。Uberで自動運転モビリティ・配送部門のグローバル責任者を務めるSarfraz Maredia氏は「自動運転の次の章は、個別のローンチから反復可能な商業規模への移行にある」と述べている。

【参考】関連記事としては「中国WeRide、ロボタクシー売上「3カ月で2.4倍」」も参照。


■クロアチア発、欧州初の商用ロボタクシーサービス

欧州における実績の土台となっているのが、クロアチアの首都ザグレブでの取り組みだ。ザグレブでは既に、欧州で初めてとなる商用ロボタクシーサービスが稼働している。現地のモビリティ企業Verneが車両を保有・運行し、当初は独自のアプリを通じてサービスを提供してきた。今後はUberアプリとの統合も予定されており、Uberの配車基盤を通じてより多くの利用者がロボタクシーを呼び出せるようになる見込みだ。

各国・地域でロボタクシーの実用化を左右するのは、規制環境の整備状況である。欧州ではクロアチアがいち早く商用運行を認めた一方、自動運転車の法整備は国や地域によって進み方が異なり、米国でも連邦レベルのルール作りがようやく本格化した段階にある。ザグレブでの先行実績は、規制対応を含めた実証の速さがそのまま事業拡大の速度に直結することを示す事例といえる。

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■中国ですでに黒字化しているPony.ai

Pony.aiの強みとして際立つのが、中国での採算面での実績だ。同社は中国で経済規模の大きい主要都市を指す一線都市の4都市において、有償かつ完全無人のロボタクシー運行を実施している。さらに複数の都市で、都市単位の損益分岐点となる単価ベースの黒字化を達成済みだと公式に明らかにしている。

自動運転タクシー事業は車両やセンサーへの投資負担が大きく、赤字が先行するケースが少なくない。そうした中でPony.aiは、黒字化した実績を土台に欧州へ進出する形をとっており、これは資金調達力や事業継続性の面で欧米の競合にとって無視できない材料となる。

【参考】関連記事としては「中国 右ハンドル自動運転車を開発へ 狙いは日本か」も参照。

■2,000台構想が映す、欧州ロボタクシー市場を握る中国勢の存在感

Pony.aiの欧州における2,000台構想は、単独の事例にとどまらない。中国系の自動運転開発企業WeRide(ウィーライド)は2026年6月、Uberおよびスペインの運行パートナーAVOMO(アヴォモ)とともにマドリードでのロボタクシー展開を発表した。これはWeRideとUberが結ぶ15都市契約のうち4番目の都市にあたり、2030年までにさらに11都市への拡大が計画されている。

また、Baidu(バイドゥ)傘下のロボタクシーサービスApollo Go(アポロゴー)も、2026年6月にスイスの公共交通事業者PostBus(ポストバス)との合弁でレベル4の規制承認を取得したほか、8月20日にはUberのプラットフォームを通じてドバイで完全無人サービスを開始した。

Pony.aiの欧州拡大発表からわずか6日後の出来事であり、欧州・中東の両地域で、複数の中国系企業がUberという同じプラットフォームを介して展開を進めている構図が浮かび上がる。2,000台という数字は、その先頭を走るPony.aiの規模感を示すと同時に、欧州のロボタクシー市場における主導権争いの行方を占う指標にもなりそうだ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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