テスラの自動運転機能、「踏切の認識」で脆弱性

一般向け車両に搭載のFSD



出典:Facebook / Spitlers Garage and Towing

自動運転タクシー(ロボタクシー)サービスを開始し話題の米EV(電気自動車)大手テスラ。しかし同社の一般向け車両に搭載されている「自動運転」システムは、踏切で停止できない可能性が指摘されている。

同社のADAS(先進運転支援システム)である「Full Self-Driving(FSD)」を作動させ、いわば「半自動運転」のような状態で走行していたテスラ車が踏切を認識せず、遮断機や点滅する信号にも関わらず踏切手前で停止しなかったとするトラブルが発生し、ユーザーがその様子をSNSに投稿している。


米メディアによると同様の事例が少なくとも数件はあったようだ。

FSDは直訳すると「完全自動運転」となり、自動運転可能だと誤認を招くとして名称を「FSD(Supervised:監視あり)」に変更している。今回の踏切でのトラブルでは運転手がきちんと周囲を見ていたため、手動でブレーキをかけ事なきを得ている。ただしテスラの安全性について、疑問視する声が増えているようだ。

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■踏切に反応しないという欠陥?

2025年6月、あるテスラユーザーがFSD機能について無事に踏切で作動するか確認するためテストを行なった。テスラ車は踏切に近づいて信号が点滅し遮断器が下がってきたにもかかわらず、停止しようとしなかったという。結局、ユーザー自ら急ブレーキを踏み、踏切内に入るのを阻止して難を逃れたという。ユーザーはその様子をSNSに投稿した。


米メディアは提供された映像を検証し、このテスラユーザーの証言を裏付けるために同じ踏切を訪れ再度テストを試みた。その結果、同じ問題が起きることが確認できた。

また、2023年までさかのぼってYouTubeなどのSNSを調査したところ、テスラ車のFSD機能が踏切を認識しないという同様の事例は、記録された40件の事故のうち少なくとも6件発生していたことが分かった。そのテスラユーザー6人へのインタビューでは、全員が踏切で技術的な問題を経験したと述べ、そのうち4人は映像も提供した。

その際に撮影された映像では、テスラ車は確かに踏切手前で停まろうとはしていない。ドライバー自らが踏切の手前でブレーキを踏み、無理やり停車させようとしている。映像では、踏切は車内モニターにも映しだされていないようにも見える。別の映像では、踏切は無視しているものの、その少し先にある交差点の赤信号には反応する様子が映し出されている。つまり、踏切を認識するかどうかは統一されていない様子なのだ。

■踏切で立ち往生、列車と接触した事例も

米メディアの調べによると、FSD作動中のテスラ車が踏切で立ち往生したという事故も起きている。この事故では、ペンシルベニア州シンキング・スプリングの踏切で、テスラ車が不可解なことに左折してしまった。線路を認識できずに道路と間違えたようだ。車は踏切上を約50フィート(約15メートル)走行した後で、ドライバーと2人の乗客が車から降りた。


その数分後、ノーフォーク・サザンの列車が線路を通り、テスラ車両に接触した。幸いにも目立った損傷はなく、サイドミラーの破損のみにとどまったという。この件については、ドライバーがなぜ運転に介入しなかったということについて、米メディアは疑問を呈している。

米メディアはこの問題について、NHTSA(米国運輸省道路交通安全局)へ問い合わせを行った。NHTSAは、この件についてすでにテスラと連絡を取り、FSD機能の安全性能についての話し合いを行っていると回答したようだ。ただしテスラ側は、この問題について現時点で何もコメントしていない。

■踏切で正常に機能する場合も

FSD機能が常に踏切や線路を認識しないというわけではない。SNS上にも、FSDを作動し無事に踏切を通過したという動画がたくさん投稿されている。しかし、踏切で停止する場合もあればしない場合もある、というのではユーザーは全く安心できない。踏切や線路に脆弱性があると分かっている状態でテスラ車に乗るのは不安が大きい。

テスラCEO(最高経営責任者)であるイーロン・マスク氏は、2025年8月11日に「約6週間後にリリースされるFSDはパラメータ数が10倍に増え、多くの改良が加えられることで劇的な進化となるでしょう。現在はトレーニングとテストが進行中です。FSD 14の実際の安全性が確認できれば(素晴らしい結果になると考えています)、車からの注意喚起は格段に少なくなるでしょう」とX(旧Twitter)に投稿している。

テスラは、我々を安心させられるような安全性を持つ機能をリリースできるのだろうか。そして現在はセーフティドライバー同乗のもとの運行で「自動運転とは言えない」と揶揄されている同社のロボタクシーが、完全ドライバーレスを実現するのはいつになるのだろうか。注目だ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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