自動運転に対し肯定的な中国人は90%──。そんな調査結果が発表された。「自動運転は意味のあるものである」と考える人の割合は、2024年には中国で90%、日本で72%となっている。それに対し、米国では56%、ドイツでは49%と低めだという。
この調査を行ったのは、ドイツの自動車部品メーカー大手コンチネンタルだ。ドイツ、中国、フランス、日本、米国のモビリティ調査を実施し、このほど結果を発表した。
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■日本と中国では支持率が増加傾向
コンチネンタルは、5カ国の18歳以上約5,000人を対象に、モビリティのニーズや自動運転トラックといった新技術に対する受容度を確認するため、2024年8月に調査を行った。
ADAS(先進運転支援システム)の搭載が乗用車に広く浸透するにつれ、システムへの寛容性が高まっている。その傾向が顕著なのがドイツで、2022年と比較して大きく向上した。また中国では、ほぼ全ての回答者が以前からADASを必要不可欠であると考えているという。中国は、自動運転への社会受容性が元々高い国だということが分かる。
また「自動運転は意味のあるものである」と考える人の割合は、2013年以降に米国や中国、日本で大幅に増加している。特に日本と中国では支持率が11ポイント上昇し、2024年には中国で回答者の90%、日本で72%に達した。
米国も15ポイントと増加率は高いものの、56%にとどまる。ドイツでは自動運転への支持率が停滞しており、2013年の53%より2024年は低下し、49%であった。自動車大国であるドイツで、自動運転への支持が低いことになる。
この数値をまとめると下記になる。東アジアで高く、欧米で低い傾向にあることが分かるだろう。
国 | 2013年 | 2024年 |
中国 | 79% | 90% |
日本 | 61% | 72% |
米国 | 41% | 56% |
ドイツ | 53% | 49% |
■各国で自動運転トラックへの大きな期待
調査では、今後5〜10年以内に自動運転が日常的な使用に適しているかどうかについての期待についても聞いている。
2024年における期待値は中国で82%、日本で52%、米国で51%となっている。それに対しドイツとフランスでは、2022年と比較して微増するにとどまっているという。
また自動運転トラックに関する質問もある。自動運転トラックは広く受け入れられており、自動運転トラックがすぐに実現する可能性が高いと多くの人々が考えている。各国の回答者の大多数が、自動運転トラックが物流業界におけるドライバー不足を補い、交通渋滞を緩和すると予想している。
ドイツでは、1,000人の調査対象者のうち47%が自動運転トラックが近い将来現実になると予想している。中国は92%、米国は62%とより高い数値となっている。
なおドイツでは、約60%が自動運転トラックを配送ドライバー不足に対処する1つの手段になると考えており、47%が、自動運転トラックが高速道路の交通流を改善し、将来的には渋滞を減らすと考えているという。
■コンチネンタルは米国で自動運転トラックを生産予定
自動運転開発において、乗用車よりトラックの方が実用化へのスピードが速い。一般道路を走行する自動運転車や自動運転タクシーに対し、自動運転トラックは高速道路のみを自動運転とすることが多いというのが主な理由だ。
コンチネンタルも自動運転トラック開発に取り組んでいる1社だ。同社は自動運転トラック用のレベル4自律型システムの開発と製造に向け、2023年から自動運転開発企業の米Aurora Innovationと協力している。2027年に米国での生産開始を予定しており、セントラルハードウェアやソフトウェアシステムのシステムアーキテクチャと設計を2024年始めに定義したという。
なお今回のコンチネンタルによる全調査結果は、2024年10月に公表予定だ。詳しく知りたい人は注視しておこう。
【参考】関連記事としては「自動運転車の市場調査・レポート一覧(2024年最新版)」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)