トヨタも出資する中国の自動運転スタートアップPony.ai(小馬智行)が、ついに上場するか。中国メディアによると、早ければ2024年9月に米国での新規株式公開(IPO)に向けて準備していることを報じている。
Pony.aiは中国において百度やWeRide、AutoXなどと並ぶ有力な自動運転開発企業だ。自動運転関連企業がまた1社上場することで、投資家から大きな注目を集めそうだ。
Pony.aiはかつて、2021年の米国IPOを検討していたことがある。しかし米証券取引委員会による中国企業への監視強化のため、計画を延期しなければいけなかったという事情がある。中国政府が自国のハイテク企業に対する締め付けを強化し、米国市場での上場に目を光らせていることが背景にあるとみられていた。
【参考】関連記事としては「自動運転ベンチャー、未上場企業一覧(2024年最新版)」も参照。
■現在の評価額は86億ドル(約1兆3,200億円)
同社は2023年4月に、中国証券監督管理委員会(CSRC)から海外上場の認可を受けた。上場に伴い、最大で9,815万株の普通株式を発行する計画のようだ。
なお市場調査・ビジネス分析を手掛ける米CB Insightsによると、Pony.aiの現在の評価額は86億ドル(約1兆3,200億円)となっている。
▼The Complete List Of Unicorn Companies|CB Insights
https://www.cbinsights.com/research-unicorn-companies
■トヨタと関係の深いPony.ai
Pony.aiはGoogleとBaidu出身の2人により2016年に設立され、中国と米カリフォルニア州を拠点に自動運転タクシーの開発を進めている。2018年に広州で自動運転タクシーのフリートを立ち上げ、中国で初めて自動運転車を一般に公開した。
北京、広州、深セン、上海で自動運転タクシーを運行しており、このうち北京と広州では完全無人による自動運転走行の運行許可を取得している。
2019年8月にはトヨタ自動車との提携を発表し、2020年2月にはトヨタから4億ドル(当時のレートで約460億円)の出資を受けている。2023年8月に、トヨタの中国統括企業と広汽トヨタとともに合弁を設立すると発表した。新会社がトヨタブランドのBEVをPony.aiに提供し、自動運転タクシーを量産化していく方針だ。
具体的には、GTMCが生産するトヨタブランドのBEVをベースに、トヨタの知的運転支援システム「T-Pilot」などを搭載するとともに、トヨタ生産方式のメリットやGTMCのサービス運営体制を最大限発揮し、Pony.aiの自動運転タクシー構築を強力にバックアップしていく計画のようだ。
■米国のほか欧州へも進出
Pony.aiは米国では、2021年5月にカリフォルニア州で完全無人自動運転の走行ライセンスを取得している。しかしその後、公道実証中の事故が原因となりライセンスを停止された。
さらに2022年5月には、セーフティドライバー付きの自動運転走行ライセンスも停止された。報道によると、ライセンス更新に向けPony.aiの報告者を精査した際、運転記録に多数の違反が見つかったことでDMV(カリフォルニア州車両管理局)が許可を停止したという。現在は、セーフティドライバー付きでの走行ライセンスを許可されている状態だ。
同社は2024年3月に、ルクセンブルク政府と自動運転モビリティ開発を推進するための覚書を交わしている。ルクセンブルクのイノベーション機関であるLuxinnovationや地元関係者の支援のもと、最先端の自動運転技術の開発を行う拠点を設置する。この拠点が他の欧州諸国への進出に向けてのハブにもなるという。
次々に事業を拡大しているPony.ai。米国市場に上場することで、さらに技術開発と事業拡大に弾みがつきそうだ。
【参考】関連記事としては「トヨタ出資先の中国系Pony.ai、自動運転で欧州圏上陸」も参照。