数字含むロゴ、速度標識との「誤認識の恐れ」で全面禁止へ?

運転支援システムが勘違い多発、解決策は?



ホンダセンシングなど自動車の運転支援システムが、企業のロゴを道路標識と誤認識する事例が相次いでいる。100円ショップのロゴ内に描かれた「100」の数字を「時速100キロ制限」と勘違いしたり、天下一品のロゴ内にある漢数字の「一」を「進入禁止」の標識と誤認識したり、といった具合だ。


車載システムがこうした誤認識をし、ドライバー席のデジタルコックピットのディスプレイに、実際には前方にありもしない標識を表示する事態が起きてしまうと、人間のドライバーの重大な運転ミスや交通違反につながってしまう可能性がある。

また、手動運転であれば、例えば一般道を走行中に「時速100キロ制限」の標識がディスプレイに表示されても、「ここにこの標識があるのはあり得ないのでは」という人間独特の違和感が生じ、事なきを得るかもしれないが、自動運転車の場合はシステムがこうした誤認識に気づかず、時速100キロを出してしまうかもしれない。

こうした問題を解決するためには、どうすればいいだろうか。国土交通省が、車載システムによる誤認識につながる企業のロゴを制限する「禁止デザイン集」のようなものを出して、10の倍数(60や100)や、進入禁止などの標識に似たデザインを、企業がロゴで採用してはいけないルールにするしかないのだろうか。

【参考】関連記事としては「天下一品のロゴ、ホンダ車が「進入禁止」と再び誤認識」も参照。


【参考】関連記事としては「似てる?マツダ車、道路の番号標識を「制限速度」と勘違い」も参照。

【参考】関連記事としては「100均のCanDoのロゴ、ホンダ車が「100キロ制限」と誤認識か」も参照。

【参考】関連記事としては「100均のセリアのロゴ、日産車が「100キロ制限」と誤認識」も参照。

■ロゴデザインの制限は非現実的

結論から言えば、運転支援システムや自動運転車の誤認識の防止のためだけに、企業のロゴのデザインを制限するというのは、現実的ではないだろう。


すでに数え切れないほど数字入りの企業ロゴは存在する。それら全てに変更を求めるというのは、ほぼ不可能と言えるだろう。外資系企業が日本に進出する際にも、ロゴを変更しなければいけないケースも出てくるはずだ。

ではどういった解決策があるだろうか。実は先日、自動運転ラボが公開した「100均のCanDoのロゴ、ホンダ車が「100キロ制限」と誤認識か」の記事に関し、さまざまなコメントがニュースサイト「NewsPicks」上で寄せられた。その中にいくつかヒントがある。

■「標識に埋め込んだタグと車とが双方向通信するとか・・・」

NewsPicksでは、例えば以下のようなコメントがあった。

出典:NewsPicks(https://newspicks.com/news/10243325/

標識に埋め込んだタグと車とが双方向通信したり、GPS情報から速度制限区域や一旦停止、通行止めは認識したりする、というのは、非常に現実的な解決策と言えそうだ。


以下のようなコメントもある。前述のコメントと通じる考え方だ。

出典:NewsPicks(https://newspicks.com/news/10243325/

■「人間用の標識の下にQRコードつければ良いのでは?」

このほか、車載システムの識別用に、標識の下にQRコードをつければいいのでは、といったコメントもあった。

出典:NewsPicks(https://newspicks.com/news/10243325/

実は標識にQRコードを設置するアイデアについては、国の検討会でも一部検討が行われている。過去、自動運転に必要な道路空間の在り方を検討する「自動運転に対応した道路空間に関する検討会」の公開資料において、自動運転車用標識としてQRコードを設置するアイデアが盛り込まれている。

▼資料URL
https://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-council/road_space/pdf05/02.pdf

出典:国土交通省資料

■道路インフラの最適化が必須に

自動運転車を現実世界で普及させるためには、車両そのもののAI技術やセンシング技術だけではなく、道路に関するさまざまなインフラも変更・最適化していかなければならない。道路標識に関することは、そのうちの一つに過ぎない。

国もメーカーもこうした標識の誤認識の問題についてはすでに認識をしており、今後、どういった議論や対応が行われていくのか、引き続き注目すべき事項と言える。

自動運転とは?(2024年版)レベル別の開発状況・業界動向まとめ


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