トヨタ、Xデーは2月6日!?ついに自動運転技術を商用展開か

先行するホンダの猛追が始まるのか

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出典:Flickr / DennisM2 (CC0 1.0 : Public Domain)

トヨタ自動車の2024年3月期第3四半期決算の発表が近づいてきた。2月6日に発表される予定だ。

2023年はグローバル販売・生産ともに過去最高を記録するなど業績面で文句はないものの、日野に続きダイハツ、豊田自動織機とグループ各社の不正が相次いでおり、良い面・悪い面ともにクローズアップされることになりそうだ。

できることなら、今後を展望する明るい話題が欲しい。自動運転技術の商用化などのトピックは出てこないだろうか。ホンダなどの他社が積極的に動いているだけに、そろそろタイミング的にトヨタが商用展開のロードマップを発表する可能性は十分ある。

トヨタによる自動運転サービスはいつ始まるのか。その展望に迫る。

■自動運転を取り巻く国内の状況
2020年代に入ってホンダが台頭

国内自動車メーカーで、いち早く「自動運転」を前面に押し出したのは日産だ。2010年代、ADAS(先進運転支援システム)「プロパイロット」を「自動運転技術」として宣伝し、大きな脚光を浴びた。(衝突被害軽減ブレーキなどのADAS機能の誤解を招く恐れがあるため、表現は後に変更された)

その後も、国内勢でいち早く「ハンズオフ運転」を可能にするレベル2+を実装したほか、自由な移動を実現する自動運転サービス「Easy Ride」の実証に取り掛かるなど、積極性が際立っていた。

2020年代に入ると、日産に代わってホンダが台頭し始めた。2021年3月にレベル3システムを搭載した新型レジェンドを限定リース販売し、自家用車における自動運転実装で世界をリードした。

また、開発パートナーの米GM、Cruiseとともに日本国内で2026年に自動運転タクシーを開始する計画も発表した。現在の状況のまま進めば、国内自動車メーカーとして初の自動運転サービス実装となるほか、国内初の自動運転タクシーとなる見込みだ。

【参考】自動運転タクシーの動向については「自動運転タクシー、日本第1号は「米国から7年遅れ」濃厚に 最短で2026年か」も参照。

新興勢も開発と実装を加速

自動車メーカー以外では、ティアフォーや先進モビリティ、Turing、T2といった新興勢が活躍している。

ティアフォーや先進モビリティは各地の自動運転実証に参加しており、その実績は国内トップクラスだ。特にティアフォーは、自動運転EV生産に向けたソリューション「ファンファーレ」を発表し、初期モデルとなるホワイトレーベルEVの販売を2023年に開始した。

すでにアイサンテクノロジーなどが「ティアフォーMinibus」を導入し、長野県塩尻市における自動運転サービス向けに提供している。

ティアフォーはEV量産化に向け車体架装メーカーのトノックスと協業を進めるほか、Autowareを活用した自動運転システム「AIパイロット」が道路運送車両法に基づくレベル4の認可を取得するなど、事業が大きく前進し始めている。

WILLERとの提携のもと、2023年度中に3カ所で実証を開始し、2025年度に10エリアでの実用化を目指す方針だ。

一方、Turingはレベル5相当の自家用車、T2は高速道路でレベル4を可能とする自動運転トラックの開発などを進めている。

■トヨタの動向
トヨタは「ゴーイングマイウェイ」

このように、日本国内でも開発各社が自動運転実用化を加速しているが、トヨタはどうなのか。トヨタの自動運転実用化に対するスタンスは、積極的でも消極的でもない。我が道を進んでいる印象だ。他社の動向に左右されることなく、来るべき時に社会実装を進めていく感じだ。

自家用車関連では、2021年4月発売の新型MIRAIと新型レクサスLSに新機能「Advanced Drive」を搭載し、一定条件下におけるハンズオフ運転を可能にした。常時監視は必須だが、ドライバーはアクセルやブレーキ、ステアリング操作から解放れるレベル2+の技術だ。

自動運転レベル3を実装したホンダレジェンド発売の翌月だけに、将来的なアップデートによりMIRAIなどもレベル3を実装するのでは?――といった憶測が流れたが、結果として実現には至っていない。

根幹には、人とクルマがパートナーとして尊重し合うトヨタ独自の自動運転の考え方「Mobility Teammate Concept」がある。運転する楽しさを前提に、システムがその安全制御をナチュラルに支援したり、運転操作を代替したりする考え方だ。

ともすれば、トヨタはレベル3などの枠組みに捕らわれない自動運転技術をいきなり実装する可能性も考えられるが、こうしたビジョンを予感させる動きも特に見せていない。

水面下でレベル3の実装期を虎視眈々と見定めているのか、あるいは別の路線を歩むのか。見当がつかないのが現状だ。

【参考】Mobility Teammate Conceptについては「トヨタの新型LS、「人とクルマが仲間」な自動運転レベル2搭載」も参照。

自動運転サービスは「e-Palette」にお任せ

一方、サービス用途の自動運転車に関しては、2018年にモビリティサービス専用の自動運転EV「e-Palette」を発表している。

人の移動や無人コンビニ、移動可能なホテルなど多用途に活用できるボックス型で、トヨタの自動運転システムのほか他社の自動運転システムを組み込んで安全性・冗長性を高めることもできるコンセプトだ。

2021年開催の東京オリンピック・パラリンピックの選手村で選手安関係者の送迎用途で導入されたのを皮切りに、2022年の東京臨海副都心・お台場エリアにおける自動運転実証で使用されるなど徐々に表舞台に立つ姿が目立ち始めた。

2024年1月には、愛知県豊田市でe-Paletteを鞍ケ池公園のパークトレイン用車両として走行させるサービス実証も行われた。トヨタのお膝元とは言え、自治体主体の取り組みにe-Paletteが導入され始めたのは大きな進展だ。

そろそろe-Palette導入に向けた取り組みが加速?

こうした自治体による自動運転需要は、2024年に大きく増す可能性がある。国が掲げる「2025年度をめどに自動運転サービス50カ所実現」という目標を背景に、導入に向けた取り組みが加速することが予想されるためだ。

現時点では海外製の「NAVYA ARMA」のシェアが高いが、国産を期待する声も大きい。自動車メーカーのトヨタが本格的に動き出せば風向きが大きく変わる可能性がある。

こうした国の目標に対し、トヨタが直接関わらない……というのもおかしな話ではないだろうか。国内の自動運転実用化に拍車をかける存在として、トヨタの動きに期待したいところだ。

海外勢とのパートナーシップの成果にも注目

海外では、トヨタとパートナーシップを結ぶ中国Pony.aiや米May Mobility、Aurora Innovationといった新興勢の活躍が目を引く。

いずれもトヨタのAutono-MaaS車両シエナなどに自社開発した自動運転システムを統合し、サービス展開に向け邁進している。

共同研究の中身など具体的な協業の実像はほとんど明かされておらず、車両供給の側面ばかりが目立つが、こうしたパートナーとの技術融合を図ることができれば、トヨタの自動運転開発・実用化は一気に前進する。

現場でどのような協業が行われているかはほとんど明かされていないが、こうした協業の成果がそろそろ公表されてもおかしくはないだろう。

■【まとめ】Xデーの到来に注目

トヨタの第3クォーターの決算説明で自動運転などのビジョンが示されることはなさそうだが、我が道をまい進するトヨタにもそろそろ動きが欲しいところだ。

トヨタが本格的に動き出せば、ホンダや日産、新興勢の目の色も変わり、国内開発が一気に加速する可能性もある。それだけ大きな影響力をトヨタは有しているのだ。

トヨタが自動運転に関する明確なビジョンを示すXデーはいつ訪れることになるのか。要注目だ。

【参考】関連記事としては「本日トヨタ決算発表、ライブ中継なし!自動運転の話題お預け」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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