インド道路相「自動運転は解禁しない」 ドライバーの雇用保護を優先

導入なら「約7万〜8万人の雇用が奪われる」



インドのニティン・ガッカーリ道路交通大臣は2023年12月18日、自動運転車はインドで導入・解禁させない方針を明らかにした。人間のドライバーの雇用が大幅に減少することを防ぐための措置だという。自動車関連イベントで語った。







ガッカーリ大臣は「自動運転車を導入すれば、インド国内で約7万〜8万人の雇用が奪われる。その結果、大混乱が引き起こされるため、私は自動運転車の解禁はさせないだろう」と述べている。

自動運転レベル1〜2は展開されているが…
出典:Wilipedia Commons (Public Domain)

現地メディアの報道によれば、インドにおいては韓国のヒョンデ(現代自動車)やインドの自動車製造企業であるマヒンドラ&マヒンドラ(M&M)、日本のホンダなどが、自動運転レベル1〜2の機能が搭載された自動車を展開している。

しかし、自動運転レベル1〜2は「運転支援」レベルであり、機能としては、自動緊急ブレーキや車線逸脱防止機能、アダプティブ・クルーズ・コントロールなどにとどまる。つまり、現在は部分的な自動運転と言えるレベル3以上が搭載された車両が展開されていない。

ガッカーリ大臣の方針が今後も堅持されるのであれば、インドでは現在のようにせいぜい自動運転レベル1〜2の車両しか展開できないことになる。

現在、ホンダやMercedesがすでにそれぞれの自国などでレベル3を展開しているが、これらの企業がレベル3をインドに上陸させることは少なくとも当面は難しそうだ。

【参考】関連記事としては「自動運転レベルとは?(2023年最新版)」も参照。

自動運転バスの展開も困難に?

市販車だけではなく、公共交通として自動運転バスや自動運転シャトルを展開するのも難しそうだ。

自動運転タクシーで業界をリードする企業としては、アメリカ勢としてはWaymo(Google系)やCruise(GM系/現在はサービスを停止中)、中国勢としてはBaiduやPony.aiなどが挙げられるが、インドへのサービス進出は見送らざるを得ないかもしれない。

自動運転シャトルに関しては、フランスのNavyaやEasy Mileの車両が世界的に多く展開されているが、インド国内を両社の車両が走行できるようになるのは、遠い未来かもしれない。

■自動運転以外の方法で交通事故半減

これまでインドに関しては、標識や車線表示などを含めた道路インフラの脆弱さや複雑な道路事情などがネックとなり、自動運転車の展開は一筋縄ではいかない、という見方が強かった。

そしてここに来て、道路交通大臣が雇用を守るために自動運転車を解禁させない、という方針を明らかにした。

自動運転車の導入は交通事故を減らす効果が期待できるだけに、雇用に与える影響は大きくても、導入する社会的意義はある。現にインドでは2022年に16万8,491人が交通事故で死亡したという報告がある。

しかしインド政府は、自動運転車の導入以外の方法で、2030年までに交通事故の件数を半減させる計画を掲げており、自動運転車にはしばらく目を向けない方向性のようだ。

【参考】関連記事としては「自動運転とインド(2023年最新版)」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)









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