人間タクシー「運転手ガチャ」にはこりごり!自動運転化に期待の声

ホンダの無人タクシー、2026年に展開へ



「運転手ガチャに失敗」「運転手ガチャ、大外れだった」──。最近、タクシーに関する失敗談で、「運転手ガチャ」という言葉が使われるケースをSNSなどでよく見かける。


たしかに、乗車したタクシーの運転手が道をよく知らなかったり、態度があまり良くなかったりで、乗客が嫌な思いをする場合がある。

一方、「自動運転タクシー」であればサービスの質が均一化するため、少なくともそのときの運で運転手ガチャに失敗するということはない。そうした観点で、このほどホンダが発表した自動運転タクシーの展開計画に期待する人はかなり多そうだ。

■タクシーへの意見で最も多いのは「接客態度」

日本のタクシーはサービスレベルが非常に高く、安心して乗ることができるとして世界的にも有名だ。しかし、ドライバーがその地域の道にあまり詳しくなかったり、女性の乗客だと態度を変えたり、旅行者と分かれば回り道をしたり、といったトラブルもたびたび起こっている。

公益財団法人大阪タクシーセンターがタクシー利用者を対象に2022年10月に行った「タクシーに関するアンケート調査」によると、タクシーに対する意見・要望で最も多かったのが「接客態度」に関するもので、48.0%であった。ネガティブな意見として、「態度が悪い」、「事業者または運転車によって較差あり」、「復唱・謝辞が無い」、「近距離を嫌がる」、「サービスが悪い」といった意見が出ている。


出典:大阪タクシーセンター

次に多かったのは「利便向上」の10.1%で、「乗り場の利便性や車載設備の向上」のほか、「アプリ決済、クレジットカードなどが利用できない」、「空車が少ない」との意見があった。そのほか、「地理をよく知ってほしい」、「粗暴運転をする」、「安全運転に不安がある」、「不当に運賃を請求された」、「乗車拒否を無くしてほしい」といった声も寄せられたようだ。

(ただしこういった調査結果がある一方で、運転手にとっても、乱暴な乗客を乗せるなどといった「乗客ガチャ」というリスクがあることにも触れておく)

▼令和4年度 タクシーに関するアンケート調査|公益財団法人大阪タクシーセンター
https://www.osaka-tc.or.jp/pdf/questionnaire.pdf

アメリカでは無人タクシーがすでに商用展開

すでに米国では、完全ドライバーレスの自動運転タクシーが実用化されている。Google系Waymoが走行させているのレベル4の自動運転タクシーは、特定エリア内において全ての運転操作をシステム側が行い、作動継続が困難な場合も車内で人が運転に介入しない段階だ。運転手は乗車しないことで、「運転手ガチャ」はなくなる。


また、自動運転車では目的地をアプリなどで指定すると、短時間で移動できるルートをシステムが検索して走行を始めるため、運転手が道を知らないため余計に時間や料金がかかったり、わざと遠回りされたりといったこともなくなる。

アメリカの自動運転タクシーは救急車両が近づいた場合の対応などでしばしばトラブルを起こしているが、こうした課題が解決されれば、人間が運転する従来のタクシーにとって、自動運転タクシーは大きな脅威となることが予想される。

■ホンダが日本で自動運転タクシーを展開へ

日本でも、自動運転タクシー導入の動きがある。

ホンダ、米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)、GM傘下のCruiseは2023年10月、日本での自動運転タクシーサービスを開始するため、サービス提供を担う合弁会社の設立に向けた基本合意書を締結したことを発表した。関係当局の承認を経て、2024年前半の設立を目指すという。

そして、3社が共同開発した運転席の無い自動運転専用車両「クルーズ・オリジン」を使用し、2026年初頭に東京都心部でドライバーレスの自動運転タクシーサービスを開始予定としている。指定場所までの迎車から目的地までの移動を全て自動運転で行い、配車から決済まで全てスマホアプリで完結するタクシー配車サービスになるという。

■自動運転タクシーがさまざまな課題を解決

現在、アフターコロナの移動需要の増加やインバウンド復活などにより、特に都市部でタクシー不足が深刻な問題になっている。自動運転タクシーの早期実用化は、その問題解決の一助となる。

また先述した通り、運転手ガチャで困る人も減る。自動運転タクシーに一度乗ってしまったら、手動運転のタクシーにはもう二度と乗りたくない、と感じる人は増えていくかもしれない。

【参考】関連記事としては「自動運転タクシーとは?(2023年最新版)」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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