次世代の子どもは「自動運転ネイティブ世代」!紙芝居で仕組み学び、体験乗車も

富士吉田市、富士急行とイベント開催



出典:富士吉田市・公式サイト

「デジタルネイティブ世代」という言葉がある。インターネット普及後に生まれた世代を指す。話を自動運転に当てはめてみると、少し先の未来の子どもたちは自動運転に小さいころから接することになるため、将来的には「自動運転ネイティブ世代」と呼ばれるようになるかもしれない。

そんなことを感じさせるイベントが開催される。富士急行株式会社(本社:山梨県富士吉田市/代表取締役社長:堀内光一郎)と山梨県富士吉田市は2023年11月8〜9日、同市の放課後児童クラブの小学生を対象に「自動運転EVバスの乗車体験学習会」を開催する。


同市ではすでに自動運転EV(電気自動車)バスの実証運行がスタートしている。今後社会実装していくにあたり、未来を担う子どもたちのデジタル教育への応用を検証し、次世代人材育成と自動運転EVバスの社会受容性の醸成を行っていくとしている。

■富士吉田市では自動運転バスの実証中

富士吉田市内の公道「富士みち」では、2023年10月21日〜11月10日に山梨県内初となる自動運転EVバスの実証運行を行っている。これは、富士急行と富士吉田市、富士急バス、BOLDLYが、持続可能な地域公共交通の実現を目指し実施しているものだ。

出典:「自動運転EVバスに乗ろう!|富士吉田市」公式サイト

片道約2.1キロの区間を、仏Navya製の自動運転シャトル「ARMA(アルマ)」が時速約20キロで走行している。オペレーターが乗車しており、自動運転レベルとしては、レベル4を目指す過程としての「レベル2相当」と言える。

自動運転の社会実装に向けては、地域社会においてその受容性を高めていくことが不可欠だ。そのため、同市の子どもたちに自動運転EVバスと未来のまちづくりについて学ぶ機会を提供することを目的に、乗車体験学習会が企画されたという。


■まずは紙芝居で自動運転の仕組みを学ぶ

体験会では、人口減少社会や雇用対策、環境負荷軽減、交通事故抑制といった自動運転化が進む社会的背景や、最新のAI(人工知能)技術などが組み込まれた自動運転の仕組みについて、まずは紙芝居で学ぶ。

その後、富士みち沿いの小室浅間神社前から下吉田駅の区間を、自動運転EVバスに乗車する。後日子どもたちに体験会で感じたことを絵日記で表現してもらい、学習の様子とともにSNS上で紹介する予定だ。なお参加するのは、放課後児童クラブの小学生各日10人、計20人となっている。

■その中から自動運転実装を担う人材が!?

富士急行と富士吉田市はこの乗車体験学習会を通じ、自動運転の仕組みを学んで未来の乗り物を体験することで、子どもたちの好奇心と探求心を高めていく。さらに、地域公共交通の現状や将来のまちづくりへの理解を深めることで、子どもたちが住む地域を愛する心を育む機会を提供するとしている。

自動運転の実用化には、技術の進歩はもちろん、地域住民の理解も重要になってくる。子どもたちの理解を得られるということは、将来のユーザーに向けての社会受容性の醸成にもつながる。家庭でこのイベントについて会話することで、親世代の理解も得られるかもしれない。また、将来的には子どもたちが地域の交通問題解決や自動運転実装を担う人材になるかもしれない。


これから自動運転普及に向けては、車体・技術開発といったハード面のほか、こういったソフト面での取り組みの必要性も重視していくことが求められる。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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