中国の大学生が自動運転配送ロボットに荷物を運んでもらっており、話題になっている。中国メディアが報じている。
航空機開発や宇宙開発分野において中国をリードする南京航空航天大学(NUAA)で2023年8月末にスタートした取り組みで、手始めに自動配送ロボットが新入学生の荷物を寮まで届けている。夜間は学生の安全確保のため自動巡回するという。
■配送のほか警備機能も備わった配送ロボ
NUAAのキャンパスでは、6台のドライバーレスの自動運転配送ロボットの稼働が始まった。この車両は、同大学の研究チームが5GやAI(人工知能)、ビッグデータ分析といった技術を活用して開発したものだという。
自動配送ロボットには高解像度カメラや各種センサー、LiDARが搭載されている。自動走行中に歩行者に道を譲る機能も搭載されている。また走行中に雨や霧を感知した場合、レンズに付着した雨や霧を自動的に除去することも可能となっているようだ。
警備機能も備わっており、周囲の人物の顔やナンバープレートを認識して画像を送信することができるようだ。
【参考】関連記事としては「自動運転車向けセンサー一覧」も参照。
■キャリーカートを牽引して走行
中国メディアが公開している動画では、人間の肩ほどの車高の自動配送ロボットが、学生のスーツケースなどを載せたキャリーカートを牽引して走行している様子が撮影されている。
▼Driverless vehicles help freshers carry baggage in E China’s Jiangsu
http://www.ecns.cn/video/2023-08-30/detail-ihcsqwqt3220819.shtml
速度は人間が歩くのと同じくらいで、人や自転車、他の車を避けて走行している。障害物がある場合は、一時停止もできている。動画では寮の前でロボットが停止し、学生が荷物を取り出している。
車体の前面と側面の窓はモニターのようになっており、大学名や新入学生を歓迎するといった意味の中国語がカラー表示されている。センサーやLiDARは、車体上部に取り付けられているようだ。
■大学敷地内は自動運転導入が比較的容易
大学キャンパスは私有地のため、展開に際しての法的なハードルが低い。また、走行エリアも限定されており、高精度3D地図データなども比較的容易に準備しやすい。ちなみに米国では、Starship Technologiesが自動運転配送ロボットを大学キャンパスに導入済みで、100校に拡大する計画もある。
また「自動運転技術×大学」という観点では、日本でも埼玉工業大で2023年4月に自動運転バスが新入生と保護者を入学式会場まで送迎するという取り組みが話題になった。この際は、大学と最寄り駅間の約1.6キロの公道を走行した。
自動運転開発に積極的な中国。自動運転タクシーや自動清掃車の導入も進みつつある。今回のような荷物を配送ロボットに運ばせる取り組みも広がっていくか注目だ。
【参考】関連記事としては「世界初!?大学生が「自動運転バス」で入学式へ」も参照。