日産、交差点事故回避に「自動運転の目」LiDARセンサーを活用

センシング力と判断力で衝突を自動回避



出典:日産プレスリリース

日産自動車は、次世代LiDAR技術を活用して交差点事故を回避する技術をこのほど公開した。

次世代LiDARを活用した運転支援技術を搭載した試作車が、交差点で緊急回避操作を自動的に行うというもので、この技術がドライバーを支援することにより事故低減に大きく貢献するという。


LiDARは「自動運転の目」とも呼ばれ、自動運転技術のコアセンサーとして注目されている。一方、自動運転だけでなくADAS(先進運転支援システム)でも活用可能で、今回日産がどのようにLiDARを用いているのか、詳しく見ていこう。

【参考】関連記事としては「LiDARとは?(2023年最新版)」も参照。

■グラウンド・トゥルース・パーセプション技術とは?

日産は事故を回避する能力の飛躍的な向上が必要であると考え、交通事故の低減や自動運転の基盤技術となる緊急回避操作の自動化を目指し、開発を行っている。

交差点での出会い頭の事故は、信号や標識の見落としなどのドライバーの不注意により発生するという。今回日産が開発したのは、こういった事故が起きる可能性がある場合に、高度なセンシングと判断能力で衝突を自動的に回避する技術だ。この技術がドライバーを支援することで事故低減につながる。


同社が開発した高性能な次世代LiDARを用いた「グラウンド・トゥルース・パーセプション技術」では、極めて判断が難しい複雑な状況において、周囲の情報を正確に捉え、瞬時に判断し、危険を回避することができる。

この技術は、LiDARのほか各種レーダー、フロントカメラ、サラウンドカメラにより構成されており、日産独自のセンシングや車両制御アルゴリズムにより、瞬時の状況判断と操作を実現している。

出典:日産プレスリリース

信号や標識を見落とした車両が目の前に現れたときには、相手の位置や速度の変化を遅れなく正確に把握し、瞬時の判断で衝突の危険を回避する。また正確な三次元空間の把握により、飛来する危険物との衝突も回避することができる。さらに、急ブレーキを作動させたあとも危険を回避し次第ブレーキを解除するなど、状況の変化にすぐに対応可能だという。

■今後ますます拡大するLiDAR市場

LiDARは「Light Detection and Ranging」の略で「ライダー」と読む。レーザーが発射されてから反射されるまでの時間間隔から、各物体への接近を正確に判断することができる技術となっている。例外はあるものの、自動運転車の実現には必須の技術と言われている。


市場情報提供事業などを手掛けるグローバルインフォメーションが2023年1月に公開したレポート によると、LiDARの市場規模は2022年からCAGR(年平均成長率)18.4%で成長し、2028年には35億ドル(約5,000億円)に達すると予測されている。

市場が拡大している主な要因として、他の技術と比較した場合に画像解像度やデータ処理能力に関して、LiDARシステムの自動処理能力が向上していることがあるという。またさまざまな監視・セキュリティ用途で高度な3Dイメージング技術の必要性が高まる状況において、LiDARの採用が進んでいるようだ。特に自動運転車のほとんどで、LiDAR技術が取り入れられている。

日産は今回発表した技術について、開発中であり、市販車に搭載されているものではないとしている。しかし交通事故の削減のために、早期の実用化を期待する声が高まりそうだ。今後の同社の取り組みにも注目していきたい。

【参考】関連記事としては「日産の自動運転タクシー、商用化は中国から!?」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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