自動車業界で「CASE」(コネクテッド/自動運転/シェアリング/電動化)の潮流が本格化する中、「UI」(ユーザーインターフェイス)や「UX」(ユーザーエクスペリエンス)を重視する自動車メーカーが増えていることが、このほどある調査で判明した。
調査を行ったのは、フィンランドに本拠地を置くQt Groupだ。調査結果によれば、自動車メーカーの製品開発予算において、UIとUXの強化・改善により多くの予算が配分されるようになっているという。
■「30%以上をUI/UX向け」が52%という結果
Qt Groupのプレスリリースによると、今後12か月の製品開発予算において、30%以上をUI/UXに向けて割り当てる予定だとした自動車メーカーは52%に上っているという。
昨年において予算の30%以上をUI/UX向けに割いた自動車メーカーは25%にとどまることから、UI/UXにより多くの予算を割こうとしている自動車メーカーが増えていることが分かる。
また今回の調査で、今後予算の40〜49%をUI/UX向けに割り当てる予定だとした回答者は23%に上っているという。Qt Groupはプレスリリースで「UI/UXとビジネスの成功の関連性が強く認識され始めていることを読み取ることができます」と分析している。
またQt Groupは、世界的な不況やインフレなどにより自動車業界の市場環境が悪化している現状に触れ、自動車メーカーが厳しい状況に置かれている中でも、技術革新が加速し続けていることも強調している。
■UI/UX開発・強化のための投資先技術は?
自動車におけるUI/UXの改善・強化の具体例としては、ディスプレイやボタンなどの「ハード」に関するもののほか、自動運転化や拡張現実(AR)の導入、またはUXの知覚化などの「ソフト」に関するものも挙げられる。
Qt Groupの調査においては、自動車のUI/UXの開発・強化のために投資が増えている技術は「デジタルツイン技術」が32%で最も高く、「バーチャルアシスタント」が29%、「コンパニオンデバイス」が27%、「コンパニオンアプリ」が23%、「拡張現実・仮想現実」が23%という順だった。
<自動車のUI/UXの開発・強化のために投資が増えている技術>
1位:デジタルツイン技術(32%)
2位:バーチャルアシスタント(29%)
3位:コンパニオンデバイス(27%)
4位:コンパニオンアプリ(23%)
5位:拡張現実・仮想現実(23%)
【参考】関連記事としては「親和性抜群!自動運転×デジタルツイン、仮想の現実世界で自由に実証」も参照。
■「可処分時間」が増えれば重要度はさらに増す
自動車の自動運転化が進めば、車内における「可処分時間」(※自由に過ごすことができる時間)が増えるため、他社メーカーの車両との差別化のためにUI/UXの重要度がより一層増してくるはずだ。
今後も自動車メーカーのUI/UXに対する予算配分の各種調査に注目していきたい。
【参考】関連記事としては「自動運転車の市場調査・レポート一覧」も参照。