サムスン、自動運転レベル4で「完全無人200キロ走行」完了

自社研究機関で自動運転ソフトウェアを開発



韓国最大のコングロマリットであるSamsung(サムスン)が、自動運転レベル4(高度運転自動化)での200キロの試験走行を完了したようだ。


現地メディアが報じているもので、同社の研究開発部門が自動運転ソフトウェアなどを開発し、今回の試験走行は人間によるドライバーの介入無しで行われたという。車両内にセーフティドライバーが同乗していたかは不明だが、介入無しということは「完全無人」と形容して差し支えなさそうだ。

サムスンの試験走行は、韓国北西部の水原(スウォン)から東北部の江陵(カンヌン)にかけて行われた。

自動運転ソフトウェアとアルゴリズムは、同社の研究機関である「Samsung Advanced Institute of Technology(SAIT)」が開発しており、さらに他社の技術も組み合わせているという。なお使用車両は不明だが、市販車を用いているようだ。

■自動運転関連でこれまでに委託実績も

同社はこれまでも他社から外部委託を受ける形で、自動運転関連の取り組みを進めてきた経緯がある。例えば2019年4月には、欧米自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)が、車両に搭載するコネクテッド技術の開発をサムスン電子に外部委託することを発表した。


またサムスン電子は2021年3月に、Waymoの自動運転車向けの半導体設計を受注したことを発表した。自動運転車のセンサーから収集したデータを計算する半導体や、Googleのデータセンターとリアルタイムで情報交換して機能を制御する半導体を手掛けているようだ。

そして同年12月には、次世代自動運転EV(電気自動車)向けの車載用総合メモリ・ソリューションの量産を開始したことを発表している。マルチメディア・アプリケーションや自動運転走行データの複雑な処理をサポートするものだという。

■取り組みが活発化しつつある韓国勢

韓国における自動運転関連の取り組みが活発化してきている。


韓国関連では、同国最大の自動車メーカー・現代(ヒョンデ)と米自動車部品大手のAptivの合弁である自動運転開発企業Motionalが、米ラスベガスでオンデマンド型の自動運転タクシーサービスを2023年3月に開始している。

またヒョンデ傘下のKIA(起亜自動車)が、同年4月に新型SUV「EV9」の詳細を発表した。自動運転レベル3の機能が搭載される見込みで、市販車で世界第3号のレベル3搭載車となると見られている。販売開始は2023年後半の予定だ。

そして今回サムスンがレベル4の自動運転車の走行テストを完了したことで、自動運転業界における韓国の注目度は一層高まった。レベル4の自動運転タクシーが実用化されている米国や中国に追いつけるか。注目だ。

【参考】関連記事としては「Waymo向け半導体設計を受注!サムスン×自動運転、最新情報」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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