自動運転は怖い?「2分乗ったら慣れる」説

米GM Cruiseの幹部が明言



自動運転車が普及するためには、「技術力」が高まるだけでは十分とは言えない。人々の「社会受容性」が高まることも重要だ。要は、自動運転車に恐怖心を抱かず、安心して身を委ねられる感覚を多くの人々に持ってもらうことが重要となる。


では、どうすれば自動運転車に対する社会受容性は高まっていくのだろうか。GM傘下の自動運転企業Cruise(クルーズ)の幹部の考え方では「まず乗ってもらうこと」が非常に重要らしい。

この幹部は、人々が自動運転車に乗る機会さえあれば「2分もしないうちに慣れる」と発言している。その短い時間で乗った人から恐怖心は消え、自動運転車がいかに快適で便利かを思い知るという。

この発言については自動運転ラボの記事「GM Cruiseの幹部「我々の自動運転車は飲酒運転しない」」でも触れているので、参考にしてほしい。

■「最初の乗車」さえクリアできれば…

前述の発言をしたのは、Cruiseのグローバル政府業務部門のバイスプレジデントであるPrashanthi Raman氏だ。


自動運転車の技術力によって手動運転よりも「数値的」(※事故率など)に安全な走行が実現できていることが大前提だが、Raman氏の考え方に沿うならば「乗ってさえもらえれば社会受容性が高まっていく」ということになる。

では、どのように最初の乗車機会を人々に体験してもらうのが良いだろうか。このことを考えることが次に重要になってくる。

ハードルの低さから考えれば、「スローな自動運転」がアプローチとしては有力かもしれない。このアプリーチを採用するならば、繁華街やショッピングセンターなどで時速20キロ未満の自動運転車を体験してもらうイベントを開催する、といったアイデアが思い浮かぶ。

(以下は、今回の発言をしたPrashanthi Raman氏が自動運転について語っているYouTube動画)


■官民で社会受容性を高めるための議論を

自動運転の技術力は、近年飛躍的に高まりつつある。AI(人工知能)技術そのものの向上のほか、AIに学ばせるための走行データの蓄積、センシング精度の高まり、超高速通信の実現などが理由だ。

そうした状況のいま、本格的に社会受容性を高めるための方法論を議論する重要性が高まっている。今後一層、官民の連携が強化され、どのようなアプローチをとるべきかの検討が早期に進んでいくことが期待される。

【参考】関連記事としては「自動運転、実証実験の結果一覧(2023年最新版)」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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