トヨタ、さすがの出資判断!米May、自動運転サービスを実現

55歳以上のシニアコミュニティ向けに



出典:May Mobilityプレスリリース

トヨタが出資する米スタートアップのMay Mobilityはこのほど、アリゾナ州でオンデマンド型自動運転公共交通サービスを開始した。アリゾナ州の55歳以上のコミュニティ向けに行うもので、これは同州初のオンデマンド型自動運転公共交通サービスになるという。

報道によれば、展開するサービスは「安心」「信頼」「公平」に重点が置かれている。


■トヨタのAutono-MaaS車両を使用か

May Mobilityが提供するオンデマンド型自動運転公共交通サービスは、アリゾナ州フェニックス近郊の「Sun City(サンシティ)」で開始された。

サンシティは人工的につくられた「リタイアメント・コミュニティ(退職者のためのコミュニティ)」で、入居者は55歳以上という条件がある。総面積約40平方キロに約2万5,000戸の住宅が建ち、居住者数は3万5,000人以上とされている。

報道によると、車両として使用されるのは自動運転用として開発されたトヨタのAutono-MaaS車両「シエナ」2台。この車両にはLiDARやレーダー、カメラなどが搭載されており、「自動運転レベル4」で走行するという。

一度に最大5人の乗客を輸送し、車いすにも対応している。安全確保のために、セーフティ・モニターというサポート担当者が同乗し、乗客からの質問に答えたり、乗り降りの補助を行ったりするようだ。


月〜金曜日の午前7時から午後5時まで、自宅やレクリエーションセンター、食料品店、薬局、医療機関などの間を運行する。なお、利用者はMaaS事業を手掛ける米Viaのアプリを通じて予約や乗降設定などを行う。

■ミシガン大学発のベンチャー
出典:May Mobility公式サイト

May Mobilityは、ミシガン大学の自動運転開発チームのメンバーによって2017年に設立された。トヨタが出資していることでも知られている。2022年9月には、ミネソタ州で前述のトヨタのAutono-MaaS車両「シエナ」を活用した公共交通プログラムがスタートしたことが発表された。

2022年6月にはソフトバンクと業務提携し、2023年1月からソフトバンクが開始した自動運転の走行経路の設計や遠隔監視の運行業務などをAIで完全無人化するといった実証実験では、May Mobilityの自動運転システムが活用されている。

■日本でもこうしたサービスは有用

日本の地方などでも、高齢者の交通手段の確保は課題となっている。今回のMay Mobilityのような試みが米国だけでなく日本にも導入されると、高齢者など移動弱者にとってより住みやすい街が実現していきそうだ。


▼May Mobility公式サイト
https://maymobility.com/

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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