テスラ、自動運転ソフトウェアが「優秀すぎる」がゆえの悩み

「実走行データ」だけでは不足!?



テスラのイーロン・マスクCEO=出典:Flickr / Public Domain

米EV(電気自動車)大手のテスラは、北米でADAS(先進運転支援システム)「FSD(Full Self-Driving)」β版を、2020年10月から有料オプションとして提供している。

このFSD β版は1日に100万マイル(約161万キロメートル)の走行データを取得できており、自動運転技術の開発に役だっている。しかし海外メディアによると、だとしてもテスラは仮想世界でのシミュレーションに頼らざるを得ない状況があるようだ。なぜだろうか。


■実走行データだけでは足りない

同社CEO(最高経営責任者)であるイーロン・マスク氏によると、重大事故などに関してAI(人工知能)を訓練するためには、シミュレーションを行うしか方法がないという。Twitterのリプライで明かしている。


FSD β版の総走行距離は何十億マイルにも上るが、テスラのADAS「Autopilot(オートパイロット)」の性能が非常に優秀になっているため、事故が起こりそうな危ないシーンや危機一髪のシーンのデータが得られることは少なくなってきているようだ。

そのため、AIに危ないシーンを学習させるために、仮想世界で危険なシーンに直面させる必要があるという。

■仮想空間で人為的に危険なシーンを

自動運転AIが進化すればするほど、車両が危険なシーンに遭遇する確率は減っていく。そのため、より自動運転AIを強化するためには、仮想空間で人為的に危険なシーンをつくり、AIに学習させることが必須となる。マスク氏はこのことをすでに見抜いているわけだ。

やはり自動運転業界ではマスク氏の発言に注目しないわけにはいかない。


記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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