トヨタ、こっそり「自動運転移動カフェ」を開発中!?

駆動部とボディが切り離せる「Bridge-Palette」



出典:トヨタイムズ公式サイト(https://toyotatimes.jp/series/design/007_1.html

トヨタ自動車が展開するオウンドメディア「トヨタイムズ」で、新たな自動運転モビリティが紹介されている。自動運転シャトルe-Palette(イーパレット)」の派生プロダクトとして模索されている「Bridge-Palette」だ。同社の八王子のデザイン拠点で開発されている。

Bridge-Paletteは、e-Paletteと補完し合えるモビリティのコンセプトモデルだという。どんなモビリティなのだろうか?


▼未来は八王子にあった!?助けたくなるロボットやチンアナゴをつくる意味とは|トヨタイムズ
https://toyotatimes.jp/series/design/007_1.html

■アレンジ可能なBridge-Palette

Bridge-Paletteの駆動部とボディは切り離せることができ、内部は自由にアレンジ可能となっている。ボディ部分には、水素を手軽に持ち運べる「ポータブル水素カートリッジ」が搭載されており、駆動部と切り離しても水素燃料で電気を生み出すことができるという。

トヨタイムズでは、「自動運転で目的地に着いたら、駆動部は別の場所に行く。そして違うボディを動かして、ほかの場所にも価値を届けるというコンセプト」と説明されている。「たとえばお祭りの屋台のような、周りの空間の価値を変えるモビリティ」を目指したという。

開発にあたり、「必要なもの」を「必要な量」だけ「必要な時」に供給する考え方である「TPS(Toyota Production System:トヨタ生産方式)」という発想が基になっているようだ。


今回は、カフェとして利用したBridge-Paletteのコンセプトモデルを一例として紹介している。近未来的な白いボックス型のボディ内部にはテーブルと椅子が配置されており、中に座ってコーヒーを楽しむことができる。扉は上に持ち上がるように開き、開放的なデザインになっている。両側面がオープンになるようだ。

■e-Paletteから派生
東京モーターショーでe-Paletteについて語るトヨタの豊田章男社長=出典:トヨタプレスリリース

Bridge-Paletteは、e-Paletteと補完し合えるモビリティのコンセプトモデルということだが、ここでe-Paletteについてあらためて説明しておく。

e-Paletteは、移動や物流、物販など多目的に活用できるモビリティサービスを目指したMaaS専用次世代EV(電気自動車)のコンセプトカーだ。2018年1月に米ラスベガスで開催された技術見本市「CES 2018」で初公開された。

Autonomous Vehicle(自動運転車)とMaaSを融合させた、トヨタによる自動運転車を利用したモビリティサービスを示す造語「Autono-MaaS」を具現化する存在として、電動化、コネクテッド化、自動運転化が図られている。


2021年に開催された東京オリンピック・パラリンピックの選手村で運行されたほか、2022年2〜3月には東京臨海副都心・お台場エリアで実証実験が行われた。実用化についての発表はまだだが、Bridge-Paletteといった派生プロダクトが紹介されていることからも、着々と開発が進んでいることが分かる。

■「遅いモビリティ」も開発
出典:トヨタイムズ公式サイト(https://toyotatimes.jp/series/design/007_1.html

トヨタイムズでは、ゆっくり移動するモビリティ「Round-Palette」も紹介されている。時速2〜3キロで動く「遅いモビリティ」だという。すでにコンサートやスポーツの試合でのヒーローインタビューで、デモンストレーションが行われているようだ。

Round-Paletteについては、「これまでのモビリティの価値は、いかに早く快適に移動するかにプライオリティが置かれていました。でもゆっくり移動することを肯定すると、新しい体験が生まれるかもしれません」との説明がある。

トヨタは、マーケティング先行ではなく、あくまでも人の幸せを先行させるモノづくりを行っていくという。同社のミッションである「幸せの量産」を実現するための取り組みが、先進デザインの現場にも生かされている。引き続きトヨタに注目だ。

【参考】関連記事としては「え、運転席がない!トヨタの自動運転シャトルが未来的」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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