手動運転はオワコン?自動運転に「買え換えたい」47%!

意識調査、「期待派」が「不安派」上回る



出典:チューリッヒ保険公式サイト

「あなたは今後、自動運転の車に買い換えたいと思いますか」――チューリッヒ保険はこのほど、自動運転に関する意識調査を実施し、その結果を公表した。

自動車保険に加入しており、週に5日以上運転する1,100人を対象としたアンケート調査で、購入に関しては約半数にあたる47.1%が意欲を示したようだ。


現時点において、自動運転技術・自動運転車はどのようなイメージを抱いているのか。同社の調査内容を紹介していこう。

▼『自動運転に関する意識調査』を実施|ドライバーの約半数が、自動運転技術を理由に「車の買い替え」を検討|ZURICH
https://www.zurich.co.jp/car/useful/guide/survey230412/

■Q:レベル4の運行許可制度を盛り込んだ改正道路交通法が2023年4月に施行されることを知っているか?
出典:チューリッヒ保険公式サイト

・内容を詳しく説明できる 5.7%
・内容をある程度知っている 18.4%
・聞いたことはあるが内容は知らない 30.2%
・全く知らない 40.4%

施行されたばかりの改正道交法だが、内容を詳しく知っている人はわずか5.7%にとどまっているようだ。レベル4に主体的に関わる人はまだまだ少なく、多くはレベル4サービスを受動的に受ける立場のため、ある意味仕方のない結果と言える。


今後、社会受容性の高まりとともにこうした数字も伸びていくのだろう。

■Q:走行ルートなど特定条件下で完全な自動運転が実現することに関して、あなたの感情に最も近いものは?
出典:チューリッヒ保険公式サイト

・非常に期待している 16.0%
・やや期待している 29.7%
・やや不安に感じる 25.5%
・非常に不安に感じる 12.2%
・どちらとも言えない 10.1%

期待していると回答した人は計47.7%と半数近くに達した一方、不安に感じる人も37.7%と3分の1を超える結果となった。それぞれの理由については、以下の設問で触れる。

■Q:(前問で期待していると回答した人で)自動運転実現にあなたが期待していることは?
出典:チューリッヒ保険公式サイト

・交通事故の削減 75.7%
・渋滞の解消・緩和 59.4%
・高齢者などの移動支援 57.3%
・物流の効率化 39.2%
・過疎地における公共交通機関の代替 37.4%
・環境負荷の低減 23.7%
・災害時などにおける緊急対応 16.5%
・その他 1.2%


自動運転の安全性への期待が75%と多くの支持を集めたようだ。また、システム連携移動サービス普及による交通流の効率化などへの期待や、無人技術による公共交通の維持・充実への期待も高いようだ。

■Q:(前々問で不安と回答した人で)自動運転実現にあなたが不安に感じることは?
出典:チューリッヒ保険公式サイト

・システムの誤作動やエラー 80.0%
・事故が起きた際の責任の所在 64.3%
・ドライバーの規範意識や知識の低下 43.4%
・居眠り運転や飲酒運転の増加 35.9%
・ドライバーが自動運転を使いこなせるかわからない 35.4%
・システムに対するサイバー攻撃:34.0%
・メーカーのサポート体制 27.0%
・その他 0.7%

不安な点としては、システムの誤作動やエラーなど、自動運転システムそのものへの信頼感がまだ足りていない点が浮き彫りとなった印象だ。

また、自家用車における自動運転などで危惧される、ドライバーのモラル喪失を懸念する意見も多いようだ。

まだまだ未知な部分が多く、発展途上な技術であるため、実証や社会実装を通じて安心感や信頼感を少しずつ獲得していくことに期待したい。

■Q: 今後、自動運転の車に買い換えたいと思うか?
出典:チューリッヒ保険公式サイト

・非常にそう思う 18.0%
・ややそう思う 29.1%
・あまりそう思わない 27.8%
・全くそう思わない 16.6%

自動運転車への買い替えついては、ほぼ半数の47.1%が前向きな意向を示したようだ。レベル3はすでに社会実装済みで、今後ODD(運行設計領域)を徐々に拡大しながら搭載車種を増やしていくことが予想される。

自家用車においてはすでにレベル3が社会実装されているものの、その動きはまだまだ限定的だ。また、レベル4実装に向けた取り組みも一部で加速しており、レベル3の普及を待たずに市販に踏み切る動きが一部メーカーで出てくる可能性もある。

今後、どのようなODDで自動運転可能な市販車が登場するか。また、その価格水準はどれほどかなど要注目だ。

■Q:買い換えたいと思う理由は?
出典:チューリッヒ保険公式サイト

・運転負担が減少するため 59.2%
・運転の快適性が向上するため 52.6%
・移動時間を有効活用できるため 47.0%
・高齢になったときでも安心して乗れるため 44.1%
・アクセルとブレーキの踏み間違いがなくなるため 29.8%
・自分で運転するよりも安全のため 21.1%
・環境負荷の低減につながるため 20.7%

運転負担の軽減や快適性の向上、安全性の向上などに注目が集まっているようだ。

■Q:買い換えたくないと思う理由は?
出典:チューリッヒ保険公式サイト

・システムに任せるのが不安に感じるため 59.5%
・価格が高いため 51.7%
・システムの誤作動が起きる可能性があるため 48.9%
・運転操作を楽しめなくなるため 38.4%
・事故が起きた際の責任の所在が不明確のため 35.2%
・車のメンテナンスに関する負担が増えるため 23.5%
・自動運転機能を使いこなせるかわからないため 13.7%

システムへの不安が最多となっているほか、想定価格の高さを指摘する意見もあった。また、運転することの楽しみを欲する声も根強い様子で、自動運転と手動運転の魅力をいかに両立させていくかも問われることになりそうだ。

■【まとめ】社会受容性の高まりに注目

現状は、自動運転を期待する人の方が不安に思う人を若干上回っている状況のようだ。自動運転技術の普及を考慮すれば、この数字はある意味上々とも言える。

今後、こういった調査は頻繁に行われる可能性が高く、技術の高度化や社会への浸透とともに社会受容性がどのように高まっていくかを把握しやすくなりそうだ。

引き続き、各社による調査結果に注目していきたい。

【参考】関連記事としては「日本人は運転が嫌い?完全自動運転車「利用したい」7割」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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