スズキが「自動運転可能な電動台車」!豪Applied EVと開発へ

多種多様な業態に対応可能



出典:スズキ・プレスリリース

自動車メーカー大手のスズキはこのほど、オーストラリアのApplied Electric Vehicles(Applied EV=アプライドEV)と自動運転が可能な電動台車の共同開発に合意したことを発表した。

Applied EVは、自動運転向けの電動化やソフトウェアなどの技術に強みを持つベンチャー企業だ。両者は2021年9月に基本合意書を締結し、2022年9月にはスズキがApplied EVへ出資したことを発表、協業の検討を進めてきた。


■ジムニーのラダーフレームをベースに

スズキは今回の共同開発の合意に先立ち、コーポレートベンチャーキャピタルファンド「Suzuki Global Ventures」を通じてApplied EVに追加出資を行っている。

共同開発を行うのは、自動運転可能な電動台車だ。プレスリリースによると、「スズキの四輪駆動車『ジムニー』のラダーフレームをベースに、Applied EVの自動運転車両プラットフォーム『Blanc Robot(ブランクロボット)』を、統合制御システム『Digital Backbone(デジタルバックボーン)』で制御する電動台車の開発」を行うという。

また、電動台車の生産・普及に向けたビジネスモデルの開発や、ブランド力の向上にも取り組むとしている。

■2015年設立の有力ベンチャー

2015年設立のApplied EVは、電動化や自動運転ソフトウェアなどの技術を手掛けている。「輸送に革命を起こす」というミッションのもと、ソフトウェアによって車両の機能を向上させる統合制御システム「Digital Backbone」や車両プラットフォーム「Blanc Robot」を開発している。


2021年3月には、帝人とLS-EV(Low Speed Electric Vehicle:低速電気自動車)のプロトタイプを共同開発したことを発表した。このLS-EVのエネルギー効率は、両社が目標としてきた歩行者レベルの消費エネルギーとほぼ同等で、自動走行車としては過去最高レベルのものだとしている。

また同年9月には、自動運転ソフトウェアを開発する英Oxboticaと完全自動運転の多目的EVを開発するための共同研究を発表している。このプロジェクトでは、Oxboticaの自動運転ソフトウェアとApplied EVのBlanc Robotを統合し、今後数年間で実用化するとしている。

■ソフト関連技術の面でも関係強化

スズキとApplied EVは今後、関係をさらに強化し、次世代モビリティ用ソフトウェア関連技術の開発も推進していくという。自動運転が可能な電動台車が両社から発表されるのを期待して待ちたい。

▼Applied EV公式サイト
https://www.appliedev.com/


【参考】関連記事としては「汎用性抜群!スズキ出資の豪企業、自動運転の「土台」開発」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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