突風を可視化!空飛ぶクルマを「乱気流」から守る

京大発ベンチャーの「ドップラー・ライダー」



出典:メトロウェザー・プレスリリース

「空飛ぶクルマ」の実用化に向けたテクノロジーの進展がめざましい昨今、上空移動の障害となる問題を解決する技術が様々な側面から開発されている。

そんな中、風況予測技術を手掛けるメトロウェザー株式会社(本社:京都府宇治市/代表取締役社長:古本淳一)は2023年4月18日までに、「ドップラー・ライダー」の第1号機を大阪府にあるアジアワールドトレードセンター(ATC)ビル屋上に設置したことを発表した。







ドップラー・ライダーとは、上空にて発生する風の状況を検出・分析(可視化)する計測装置のことを指す。同社は、このドップラー・ライダーのネットワークを世界に先駆けて大阪ベイアリアと都市部で進めている。

■風を読む装置「ドップラー・ライダー」

ドップラー・ライダーは、レーザー光の反射から大気中の小さなチリ(エーロゾル)の動きを観測し、そこから情報を分析して風況をリアルタイムで予測することができる仕組みになっている。

天気予報など従来の気象分析は地上で計測されたデータに依存するため、ドローンや航空機の通る上空の風の情報を正確に分析することができず、突風などの風に対する安全性が不安定であるとされていた。

しかし、雨水より小さい大気中のエーロゾルの動きを計測できるドップラー・ライダーの技術開発により、雨が降っていない状況下でも上空の風の状況分析が可能になったという。

出典:メトロウェザー・プレスリリース
■京大初ベンチャーのメトロウェザー

メトロウェザーは京都大学発のベンチャーで、2015年5月に設立された。リモートセンシング技術を応用した大気計測装置の開発や、気象情報とIoTを組み合わせたマーケティングとソリューションの提供などを手掛けている。

同社のコア技術「微弱な信号を抽出する信号処理技術」やリソースを生かし、安心・安全なエアモビリティ社会の必須インフラとなることを目指している。

メトロウェザーが開発しているドップラー・ライダーは、赤外線の反射波から半径10~15メートルの風向きや風速を検出することが可能だ。

■空飛ぶクルマの実用化に不可欠な技術

検出した風の情報をリアルタイムで分析し、風況を計測・可視化する技術はドローンの安全確保や空飛ぶクルマの実用化に不可欠だ。従来の他社モデルよりも小型かつ安価で高性能な同社のドップラー・ライダーは、航空業界を中心に大きな注目を集めている。

今回メトロウェザーがドップラー・ライダーを設置したATCは、2025年に開催予定の大阪・関西万博の会場の至近距離に立地している。このドップラー・ライダーにより、万博会場上空のほか大阪ベイアリア一帯の風の状況をリアルタイムに計測・可視化することが可能になるという。

メトロウェザーのドップラー・ライダーを用いた、空飛ぶクルマの安心・安定運航実現に向けた3次元風況計測実証実験は、大阪府の「2022年度 新エネルギー産業創出促進事業補助金」事業に採用されている。実証は、2023年度も引き続き行っていくという。

また、メトロウェザーは2021年からNASAの研究開発プロジェクトにも参画しており、同社のドップラー・ライダーは2022年度にNASAのドローンテストフィールドでも展開予定だ。今後より一層注目が集まりそうだ。

【参考】関連記事としては「空飛ぶクルマ、ついに2025年ごろ商用化!官民協議会が明記」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)









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