自動運転ETF「GX自動EV」上場へ!トヨタは組成比率10位

1位は米企業のNexteer Automotive

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東京証券取引所はこのほど、Global X Japanが運用する新しいETF「グローバルX 自動運転&EV ETF(略称:GX自動EV)」の上場を承認した。東京証券取引所に2022年11月8日に上場される予定だ。

GX自動EVは、自動運転や電気自動車(EV)関連企業の株式で構成される「Solactive Autonomous & Electric Vehicles Index(円換算)」を対象指標とするETFだ。

この記事では、ETFの概要とともに構成銘柄の中身に触れていく。

▼グローバルX 自動運転&EV ETF|Global X Japan
https://globalxetfs.co.jp/funds/2867/index.html
▼Solactive Autonomous & Electric Vehicles Index
https://www.solactive.com/Indices/?index=DE000SLA5MZ4

出典:日本取引所グループ・プレスリリース(※クリックorタップすると拡大できます)
■そもそも「ETF」とは?

ETFは「Exchange Traded Fund」の頭文字をとった語で、「上場投資信託」を意味する。特定の指数に連動した運用成果を目指す投資信託だが、金融商品取引所に上場しているため、株式同様相場の動きを見ながら売り買いすることができる。Global X Japanは、このETF専門の資産運用企業だ。

■対象指標は3年間で+155.45%

「GX自動EV」の指標となっている「Solactive Autonomous & Electric Vehicles Index」は、EVや自動運転関連のセグメントで事業を行っている企業を対象としており、2022年11月時点で75銘柄で構成されている。

Global X Japanによると、過去3年間(2018年8月31日~2022年8月31日)の騰落率は+155.45%で、世界的に株価が下落したこの1年においても+5.31%とプラスをキープしている。

出典:日本取引所グループ・プレスリリース(※クリックorタップすると拡大できます)
■構成銘柄は?1位はNexteer Automotive

組み入れられた75銘柄のうち、構成比率トップ10は以下の通りとなっている。

6位に日産、10位にトヨタがそれぞれランクインしており、日本勢もしっかりと注目されているようだ。

1位:Nexteer Automotive

1位のNexteer Automotiveは米国のサプライヤーで、電動化技術や油圧パワーステアリングシステム、ステアバイワイヤシステムなどさまざまな技術を有する。BMWやフォード、GM、ステランティス、トヨタ、フォルクスワーゲンなど、世界中に60超の顧客がいるという。構成比率20%超の背景が気になるところだ。

【参考】Nexteer Automotiveについては「米ネクスティア、2018年の業績発表 自動運転やADAS技術で高い評価」も参照。

2位:Novonix

2位のNovonixは、バッテリー材料・技術の開発を手掛けるオーストラリアの企業だ。リチウムイオン電池に使用されるアノード材料をはじめ、電気化学分析法の1つである超高精度クーロメトリーに重点を置いたテストソリューションなどを提供している。顧客には、ホンダやパナソニック、ボッシュ、CATLなどが名を連ねる。

3位:Pilbara Minerals

3位のPilbara Mineralsは、リチウムの採掘を手掛けるオーストラリア企業だ。同国はリチウム生産で世界の過半を占める大国だ。EV需要などで今後リチウム争奪戦が激化する可能性もあり、注目だ。

4位:Geely

4位のGeelyは中国自動車メーカーで、Baiduやモービルアイとのパートナーシップのもと、自動運転開発・量産化を推し進めている。

5位:Microvast

5位のMicrovastは米国のバッテリーメーカーで、乗用車や商用車、特殊車両、鉄道など広い分野を対象に超高速充電バッテリーシステムやエネルギー貯蔵システムソリューションの開発・提供などを手掛けている。

6位以下の非日本企業

7位のInnoviz TechnologiesはイスラエルLiDAR開発企業で、BMWやフォルクスワーゲングループなど顧客を拡大中だ。

【参考】Innoviz Technologiesについては「LiDARをトヨタへ?Innovizが「アジアの車会社」と大型契約」も参照。

8位のStandard Lithiumは、リチウム採掘を手掛けるカナダ企業だ。米アーカンソーで同国最大のリチウム塩水プロジェクトなどを手掛けているようだ。

9位のMicroVisionは、MEMSベースのレーザービームスキャニング技術の開発を手掛けており、2011年にLiDAR開発にも着手している。自動車向けLiDARの製造のほか、拡張現実マイクロディスプレイ技術なども有しており、壁や机などのあらゆる表面を仮想タッチスクリーンに変える技術などにも注目が集まりそうだ。

その他の構成銘柄

自動車メーカーでは、フォード(20位)、ステランティス(23位)、ホンダ(32位)、GM(35位)、ルノー(38位)、起亜(56位)、フォルクスワーゲン(71位)、ヒョンデ(73位)が名を連ねている。

EVメーカーでは、Nikola(11位)、NIO(27位)、Lucid Motors(34位)、XPENG(39位)、テスラ(66位)、日本関係では、パナソニック(18位)、GSユアサ(29位)、日立(44位)、デンソー(50位)などが組み入れられている。自動車用・産業用の各種電池の製造を手掛けるGSユアサへの期待も高いようだ。

このほか、インテル(26位)やAlphabet(48位)、Apple(54位)、NVIDIA(55位)、Aptiv(64位)、マイクロソフト(67位)、Baidu(69位)などの名前もうかがえる。自動運転やEV開発がベールに包まれたままのAppleも組み入れられている点も1つのポイントだ。

■【まとめ】自動運転やEV関連銘柄は中長期的に有望?

自動運転やEV関連の投資信託・ETFは年々増加傾向にある。構成銘柄には、メジャーどころをはじめ上場したばかりの新興勢や、普段はあまり表に出てこない専門企業なども網羅されており、業界の動向を探るのにも非常に役立つ。

世界の株式市場の情勢は不透明だが、中長期的に見れば自動運転やEV関連は非常に有望だ。こうした投資商品や個別企業に着目し、業界を応援しながら投資に興じるのもありだろう。

※編注:この記事は特定の株式銘柄・ETFへの投資を推奨するものではありません。

【参考】関連記事としては「自動運転関連の投資信託・ETF一覧(2022年最新版)」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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