BMW、「仮想実験」で自動運転レベル3実現へ

Ansysとシミュレーションソフトを共同開発



出典:Ansysプレスリリース

独BMWグループは2022年5月23日までに、シミュレーションソフトウェア開発を手掛ける米Ansysとの協業を拡張し、ADAS(先進運転支援システム)と自動運転車用のシミュレーションソフトウェアを共同開発することを発表した。

これによりBMWは「自動運転レベル3」の実現を目指すという。レベル3は「条件付き運転自動化」と定義され、特定条件下での自動運転を可能にする技術を指す。


レベル3に関しては、日本のホンダが2021年3月にレベル3搭載のオーナーカーを発売し、メルセデス・ベンツもレベル3の技術を利用可能な有料オプションの展開を発表している。

BMWがAnsysとの協業により、レベル3においてホンダやメルセデス・ベンツに早期に追いつくことができるか、注目が集まりそうだ。

■シミュレーションソフトの高い利用価値

自動運転技術を開発する際、自動車メーカーはさまざまなシナリオを試すことが必要になる。自動運転車はさまざまな天候や路面状態、色々な交通状況、歩行者の突発的な動きなどにも対応しなければならないからだ。


しかし、これらを全て現実世界の道路で試すのは困難であり、多大な時間もかかる。そのため、自動運転車の開発企業はシミュレーションソフトを使い、現実世界での実証実験を補完してきた。今回の協業も、こうした意図が根底にあるとみられる。

BMWはAnsysのシミュレーション技術を活用することで、自動運転技術の開発期間の短縮とプロジェクト全体のコスト削減につながるとしている。

■自動運転領域に積極的なAnsysと協業

1970年設立のAnsysは、米ペンシルベニア州ピッツバーグに本社を置くシミュレーションソフトウェア開発のリーディングカンパニーだ。自動運転のほか、VR(仮想現実)や半導体、音響シミュレーションなど、幅広いビジネス領域で事業を展開している。

2022年1月には、イスラエルLiDAR開発企業Innoviz Technologies(イノヴィズ・テクノロジーズ)がAnsysのツールを活用し、製品開発時間の短縮とコスト削減に成功したことが発表された。LiDARは「自動運転の目」と呼ばれ、自動運転車のコアセンサーの1つに数えられる。


BMWが自動運転領域で積極的な動きを見せるAnsysと組んだことでどのような成果に結びつくのか、注目だ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




関連記事