自動運転レベル4(高度運転自動化)のロボタクシー車両の開発に着手する企業が増えてきた。中国の上海汽車集団(SAIC)もその1社に数えられ、完全無人で運用できるロボタクシー車両の開発に力を入れ始めている。
自動運転レベル4は、特定エリア・特定条件下で人間の関与を前提としない自動運転が可能な水準を指す。つまりレベル4のタクシー車両では運転手がいないため、運転手に代わって乗客とコミュニケーションととるツールが必要となる。
SAICも当然こうしたツールを実装する方向で動いており、このほど、車内の会話型アシスタント機能として「Cerence Mobility Platform」を採用することを発表した。Cerence Mobility Platformの開発元は、音声AI(人工知能)を開発するアメリカ企業Cerence(セレンス)だ。
■Cerenceの技術で音声操作が可能に
Cerenceは、AI認識に強みを持つ米ニュアンスのオートモーティブ部門がスピンオフする形で2019年に設立された企業だ。すでに米ナスダックに「CRNC」のティッカーシンボルで上場している。
報道発表によれば、Cerence Mobility Platformを搭載することで、乗客は後部座席に座った状態で、声だけでエアコンを操作したり、窓を開けたり、音楽などの車内向けエンターテインメントを楽しんだりできるようになるという。
SAICはCerence Mobility Platformとともに、マイクで拾った乗客の声のデータからAIがノイズを除去する「Speech Signal Enhancement」も利用するという。
■「純中国産」にこだわらないからこそ
SAICは中国の自動車メーカーだが、これまでにアメリカ企業の技術やソリューションを積極的に取り入れている。たとえばSAICは米半導体大手NVIDIA(エヌビディア)の自動運転ソリューション「NVIDIA DRIVE」を採用している。
いずれお披露目されることになるとみられるSAICのロボタクシー車両。「純中国産」とは言えないかもしれないが、純国産にこだわらずに世界で良い技術やソリューションを探すからこそ、結果として完成度の高いロボタクシーが誕生するのかもしれない。
【参考】関連記事としては「自動運転業界、NVIDIA DRIVEの採用加速!6年間で80億ドル以上の受注額」も参照。