韓国の自動車業界は2022年3月20日までに、韓国政府に対し、自動運転レベル4〜5の開発を加速させるため、米国や中国のように実証実験のテストゾーンを増やすべきと提言した。韓国は自動運転で欧米に遅れをとっており、そのことを自動車業界も自覚しているようだ。
■KAMA会長「大都市にもテストゾーンを」
韓国メディアの報道によれば、韓国における自動運転の実証走行は、現在、指定された7つの地域内の特定のコースでしか取り組むことができない。自動運転技術の開発ではさまざまな実走データがあればあるほどいいため、業界団体はテストゾーンの拡大を提言したわけだ。
ちなみに提言を行ったのは「韓国自動車製造業者協会」(KAMA)。テストゾーンを大都市にも設けるか、現在の区域を統合して大規模な走行テストを行えるようにするよう、韓国政府に要望したようだ。
韓国自律走行開発イノベーション財団によると、韓国におけるテスト走行の累計距離は2022年1月時点で72万キロにとどまる。アメリカではカリフォルニア州だけでも1年間(2020年12月〜2021年11月)の実証距離は約660キロに上っており、文字通り「桁違い」の状況だ。
KAMAのJung Man-ki会長は「世界の自動運転市場は、2020年の70億ドルから2030年には6,565億ドルに拡大すると推定されているが、韓国政府の関心と支援は十分ではない」と指摘し、自動運転分野の振興を後押しするよう政府に求めた。
■5年ぶりの政権交代、新政権の動きに注目
このような状況ではあるものの、韓国企業は近年、自動運転車の開発に力を入れている。韓国最大の自動車メーカーである現代自動車(ヒュンダイ)は、2022年中に自動運転レベル3(条件付き運転自動化)の機能を搭載した市販車を販売する予定だ。
KIA(起亜自動車)は、自動運転システム「AutoMode」を搭載したEVを2023年までに展開する計画を発表しており、2026年までには全ての新車にAutoModeを搭載する予定のようだ。
韓国政府は業界からの提言を受け、どう動くだろうか。韓国では2022年3月9日に大統領選を終えたばかりで、5年ぶりの政権交代が決まった。新政権が次世代モビリティ技術に対してどのような姿勢で臨んでいくのか、注目が集まる。
【参考】関連記事としては「韓国KIA、自動運転機能「AutoMode」搭載EVを2023年発売へ」も参照。