自動運転システムの仮想テストソリューションを開発する韓国のスタートアップMORAIが、シリーズBの資金調達ラウンドで2,080万ドル(約24億円)を得た。2022年2月11日までに発表した。MORAIの累計調達額は2,490万ドル(約29億円)に達したという。
今回の資金調達には、新規にKorea Investment PartnersやKB Investment、韓国開発銀行が参加したほか、これまでにMORAIに投資しているNaverのD2 Startup Factoryや現代自動車グループのZER01NE、Kakao Ventures、Atinum Investmentが追加出資を行った。
■HD地図データを「デジタルツイン」に変換
MORAIは高精度地図データを「デジタルツイン」に自動変換し、自動運転システムをテストするための仮想シミュレーション環境を構築する技術に強みを有している。
デジタルツインとは、現実世界で収集したデータをコンピュータ上の仮想空間で再現する技術のことだ。発表によれば、MORAIはすでに世界20以上もの都市を再現しているという。仮想空間で技術実証ができれば、万が一の事故で誰かを負傷させるリスクはゼロだ。
MORAIはこれまで仮想シミュレーション環境を自動運転技術向けに提供していたが、Bラウンドで得た資金を使い、空飛ぶクルマなどの分野への展開も模索していくという。また、現在雇用している従業員は84人だが、人員強化で人数を倍増させることも明らかにしている。
■2018年創業、現代モービスなどが顧客
2018年創業のMORAIは、韓国企業の現代モービスや現代オートエバー、42dotなどを顧客としてすでに有しているほか、アメリカにもオフィスを開設し、半導体大手の米NVIDIAやシュミレーションソフト大手の米ANSYSなどとパートナーシップを結んでいる。
2022年1月には、米ラスベガスで開催された世界最大の技術見本市「CES 2022」では、新たなシミュレーションソリューションとして「Morai SIM Cloud」を発表し、注目を浴びた。クラウド上での自動運転のテストを可能にするソリューションだ。
自動運転向けのシミュレーション技術を開発している企業としては、海外勢ではシリコンバレーに本社を置くApplied Intuitionや、独ベルリンに本拠地を構えるAutomotive Artificial Intelligenceなどがおり、ライバルは決して少なくない。
MORAIがこの競争を勝ち抜いていけるか、注目したい。
▼MORAI公式サイト
https://www.morai.ai/
【参考】関連記事としては「韓国LG、自動運転車向けインフォテインメント事業に参入 CESで展示」も参照。