2050年代に「手動運転」禁止に 英調査会社が予測、自動運転技術の向上で

2024年には自動運転の方が安全に



2050年には手動運転が多くの国で禁止されることになる——。その可能性に触れたレポートを、英国の民間調査会社IDTechExがこのほど発表した。


IDTechExは発表したレポートは「自動運転車、ロボタクシーそしてセンサー 2022−2042」。同社はテクノロジービジネスに特化した調査会社で、自動運転の安全性のレベルは年々上がり、2050年代には自動運転の事故が年間平均1件以下になると予測している。

そういった時期を迎えると、人間による手動運転は道路において最も危険な要素となり、多くの国では人間の運転を原則禁止するという。IDTechEx社による大胆な予測と感じるかもしれないが、自動運転が手動運転の安全性を超えれば、こうした未来は十分に予見できる。

■2024年には自動運転が手動運転の安全性を上回る!?

ちなみにレポ—トによれば、自動運転の安全性のレベルは、2024年には手動運転の安全性のレベルに到達するか、もしくは上回る可能性があるという。

ただし、2024年の段階では自動運転車の走行を解禁するための法整備やインフラ整備が整っていない国も多いことが予想される上、いきなり手動運転車を禁止しては多くの人々がクルマで移動できなくなる。


そのため、2024年に安全性のレベルが手動運転を超えても、手動運転を禁止するまでには一定の期間を要すると考えるのが妥当だ。IDTechExはこうしたことも考慮し、1つの節目の年として「2050年」という予測を出したようだ。

出典:IDTechEx公式サイト
■自動運転車の公道走行の法的環境が整いつつある

IDTechExは今後の自動運転技術の前進について、交通当局などによる規制が壁となり得ると指摘する。ただし最近では、日本や米国、ドイツ、英国などでは規制の撤廃や緩和に積極的に動いており、レベル3〜4の自動運転車が公道を走行できる法的環境が整いつつある。

その証拠に、日本国内ではホンダのレベル3搭載車「新型LEGEND」が2021年3月に発売されたし、アメリカ国内では自動運転レベル4のWaymo自動運転タクシーが、セーフティドライバーも乗せずに公道でサービスを提供している。

また、LiDARなどの車載センサーや高精度カメラなどが著しく進化し、自動運転技術の高度化に結びついていることも特筆すべき点であると言える。


■本格的な自動運転時代の到来は目前

2050年というとまだ先のことに感じるかもしれないが、すでに日本や米国などにおいて自動運転車は市販車やシャトルといった形で社会で活躍しつつあり、本格的な自動運転時代の到来は目前だ。

そして本格的な自動運転時代に入ったあと、いつ手動運転が禁止されるのか、それとも完全に禁止されることはないのか……。興味は尽きない。

▼Autonomous Cars, Robotaxis & Sensors 2022-2042
https://www.idtechex.com/en/research-report/autonomous-cars-robotaxis-and-sensors-2022-2042/832

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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