New Yorkの自動運転実証、一番乗りはインテル傘下Mobileye!

目指すは「無人タクシー」の展開?



インテル傘下のイスラエル企業Mobileye(モービルアイ)は2021年7月22日までに、米ニューヨークで自動運転の実証実験を実施する計画を発表した。ニューヨークでこれまで自動運転実証を実施した企業はなく、実施されれば一番乗りとなる見込みだ。

報道によれば、ニューヨーク当局がすでにMobileyeに公道実験の実施許可を与えているという。実証実験を行うのは、マンハッタンにある都市公園「セントラルパーク」からニューヨーク最大の行政区「クイーンズ区」に至るルートとされている。


■世界各国で自動運転タクシーの展開を目指すMobileye

Mobileyeは自動運転向けの画像処理チップなどを開発している企業だが、自動運転タクシーといった「サービス」の面でも力を入れており、2020年7月には日本や台湾、ASEAN(東南アジア諸国連合)地域で移動サービスを提供する構想を発表している。

日本での展開に向けてはすでに、自動運転技術の開発にも力を入れる高速バス大手のWILLERとパートナーシップを結んでおり、2021年に日本で自動運転タクシーの実証実験を開始し、2023年のサービスインを目指すことが掲げられている。

今回のニューヨークでの実証実験は自動運転システムの改善などを目的としているが、ニューヨークでの自動運転タクシーの展開を見据えたものである可能性も高い。


特にニューヨークは、市民の交通マナーが決して良いとは言えず、道路工事も多いため、もしニューヨークで自動運転タクシーを展開できれば、自社の技術力を大きくアピールできる。ちなみにMobileyeは米国内ではデトロイトで実証実験を実施している。

■車両に500万ドル以上の保険、「運転席には人」必須か

ニューヨークで自動運転の公道実証を行うためには、ニューヨークの車両管理局(DMV)から許可を受ける必要がある。以下がニューヨークのDMVの自動運転実証の許可関連に関するページだ。

▼Apply for an Autonomous Vehicle Technology Demonstration / Testing Permit
https://dmv.ny.gov/dmv/apply-autonomous-vehicle-technology-demonstration-testing-permit

許可を得るためには、車両が500万ドル(約5億5,000万円)以上の保険に加入していることや、公道走行中は運転席に運転免許を所有する担当者が座り、いつでも運転を交代できる状況でなければならないことなどが説明されている。


つまりニューヨークではまだ、完全無人の自動運転実証は認可されておらず、Mobileyeの実証実験は自動運転レベル3(条件付き運転自動化)以下で行われるものとみられる。ちなみにカリフォルニア州では完全無人での実証も認められている。

■ニューヨークでの成功を経て、さらに注目度アップへ

うなぎ上りに存在感を高めているMobileye。ニューヨークでMobileyeとIntelのロゴが入った車両がスムーズな自動運転を見せれば、さらに同社への注目度は増す。恐らく年内にはニューヨークで始まるとみられるMobileyeの自動運転実証に、世界が関心を寄せている。

▼Mobileye Now Testing AVs in New York City|Intel
https://www.intel.com/content/www/us/en/newsroom/resources/press-kit-mobileye-new-york-city.html

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




関連記事