米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)は2021年7月5日までに、自動運転車やADAS(高度運転支援システム)が関わる事故報告を発生から24時間以内に行うよう、開発企業に義務付けることを発表した。
■未報告なら1日250万円の罰金も
近年、自動運転車またはADASを装備する車両が増えたこともあり、事故の発生も少なくない。一方、これまでには自動運転システムなどの事故後に関するルールが不明確だったため、事故の検証がスムーズに行われてこなかった実態があった。
新しい規則はこうした実態の改善を目的としている。今後、自動運転車などを開発する企業は事故が起きた際、負傷者や死亡者の数、事故車両の状況、エアバッグの動作状況などを24時間以内に速やかに報告する必要がある。
メーカーがこうした報告を怠ると、1日当たり最大で2万2992ドル(約255万円)の罰金が科せられる。ちなみに自動運転システムなどが関与する全ての事故について、月次報告書の提出も求められるという。
■新ルール導入で、再発防止を強化
これまでアメリカ国内では、自動運転車による人的ミスを含む事故が複数起きている。
2016年に発生したテスラ車による事故では、高速道路を自動運転モードで走行していた車両が大型トレーラーに衝突し、自動運転車の運転手が死亡した。2018年3月にも同じくテスラ車が高速道路を自動運転走行中、中央分離帯に衝突し運転手が死亡した。
Uberも2018年、自動運転走行中に自転車を押して歩く女性を1人はねて死亡させた。運転手はのちに過失致死傷罪で起訴された。
NHTSAによる新たな報告ルールは、業界全体で再発防止策を徹底する意味でも重要であり、自動運転車による事故の減少に寄与することとなりそうだ。
【参考】関連記事としては「自動運転開発で求められる「性悪説」 テスラ死亡事故から考える」も参照。