中国のEV(電気自動車)スタートアップである小鵬汽車(XPeng:シャオペン)は2021年6月23日までに、同社の2モデル目となる市販EV「P7」から、バレー・パーキング・アシスト(VPA)が可能なソフトウェアを展開することを発表した。
XPengのバレー・パーキング・アシストは、自動運転技術によって「記憶型」の自動駐車ができるというものだ。報道によれば、最大100カ所の駐車スポットを学習・記憶ができるという。
自動駐車機能については米テスラや韓国の現代自動車(ヒュンダイ)なども機能の開発を急ピッチで進めている。そんな中、中国のアリババなどから出資を受けているXPengも、ライバル企業たちに負けじと機能の開発を急いだ形だ。
ちなみに米コンサルタント大手のマッキンゼー&カンパニーによると、中国の新車購入者の約8割は、購入する自動車にある程度の自動運転機能が付随していることを期待している。
■XPengのVPAはどのような機能?
日本では「バレー・パーキング」というサービスは、あまりなじみがない。バレー・パーキングは、駐車を運転手に代わって係員が行うサービスのことで、自動運転技術を活用することで係員に任せなくても駐車を完了させることができる。
XPengのVPAの場合、駐車場の入り口に到着すれば、あとは勝手に指定された駐車スペースまで自動車が移動してくれる。車両に駐車までのルートを事前に記憶させる必要があるものの、これでまた一歩、XpengのEVは進化した形だ。
ただし、現時点では初めて訪れる駐車場では自動駐車機能は使えないといった課題もある。また、自動駐車のために取得したデータの所有権やプライバシーに対する考え方などについても気になるところだ。
■各社が自動駐車技術の開発に躍起
ちなみにテスラのイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)は、「リバースサモン」のリリースについて、これまでにSNS上で言及している。このリバースサモンは自動駐車に相当する機能で、現時点では市販車への実装に関して当局の承認を待っている状態のようだ。
現代自動車は一部のNexoモデルとSonataモデルで、先んじて「リモートスマートパーキングアシスト」と呼ばれる機能の提供を開始していたが、機能の不具合によって2020年で11,000台を超えるリコールとなった経緯がある。
ちなみに2021年4月に、中国の新興EVメーカーである威馬汽車(WM Motor)が、独自の自動VPA機能を備えた「W6」モデルを発売している。中国検索エンジン大手の百度(バイドゥ)と共同開発した車両だ。
■【まとめ】自動駐車機能の開発競争が激化
XpengのVPAの実用化で、自動駐車機能に関する開発競争は激化していきそうだ。欧米や中国メーカーの開発状況のほか、日本の自動車メーカーの動向にも注目だ。
【参考】関連記事としては「自動バレーパーキングとは? 自動運転技術を活用 開発企業は?」も参照。