自動運転車両向けの物体認識AIソフトウェア「SVNet」を提供する韓国のStradVision(ストラドビジョン)は2021年4月2日までに、これまでに開発した技術や事業の成果、2021年度の技術ロードマップを発表した。
■カメラ画像の深層学習でコストを圧縮
StradVisionは2014年に物体検知技術の専門家により設立された韓国企業で、「高精度で安全なADAS(先進運転支援システム)および自動運転技術の普及に寄与すること」を目標としている。東京や米サンノゼ、独ミュンヘンにも拠点を持つ。
ディープラーニングや組み込みプラットフォーム、物体検知、高度なアルゴリズムに関する専門知識をベースに、自動運転車両向けの物体認識AIソフトウェアの開発に取り組んでおり、カメラの映像からディープラーニング(深層学習)で物体を検知する仕組みを採用している。
報道発表によれば、競合他社と比較して数分の1のコストで物体認識技術の提供が可能で、すでにドイツや中国の50車種以上で採用されているという。この多くが、自動運転技術やADASの搭載を前提とした車両のようだ。
ちなみに2019年9月には、半導体大手のルネサスエレクトロニクスと共同で、車載スマートカメラ用ソリューションの提供を開始することを発表している。
■2021年技術ロードマップの3つの柱
そんなStradVisionは2021年度の技術ロードマップとして3点を掲げている。
ロードマップの1つ目は「車両前方のカメラ・FFCの単眼カメラ対応」、2つ目は「360度全方向の物体認識SVM」だ。この2つ目の技術は、自動車の側面に取り付けた複数のカメラで収集した画像を組み合わせ、360度全方向の物体や状況を認識できる新技術だという。
3つ目は「自動駐車支援(APA)と自動パレーパーキング(AVP)」で、こうした機能で役立つ物体認識技術を提供するという。
■【まとめ】高価なLiDARを使わないアプローチにも注目を
自動運転を実現するために、現在はLiDAR(ライダー)などのセンサーを複数車両に取り付ける方式が一般的となっているが、StradVisionはカメラ画像と深層学習技術を活用することで、こうした高価なLiDARなどを使わずに自動運転を実現させるアプローチをとっている。
実はこうしたアプローチは、徐々に業界でも広がり始めている。米インテル傘下のイスラエル企業モービルアイは「CES 2020」で、車両に設置された12台のカメラだけで安全な自動走行を実現する自動運転車の動画を公開し、話題を呼んだ。
LiDARを使う自動運転が主流になるのか、LiDARを使わない自動運転が主流になるのか、いまは何ともいえないところだが、後者が主流になっていけば、確実にStradVisionの存在感は高まっていきそうだ。
【参考】関連記事としては「AI自動運転「センサーはカメラだけ」…Mobileyeの衝撃動画、CES 2020で公開」も参照。