Afterコロナの地方観光活性化、「MaaS推進」が重要施策に!

2021年度、長崎や東北でも取り組みが続々スタート



出典:ゼンリン・プレスリリース

コロナ禍が収束した「アフターコロナ期」においては、国は地方観光の復活に向け、さまざまな需要喚起策を展開するものとみられる。ただし、長い目でみればこうした需要喚起策の効果は一時的なものだ。そこで重要となってくるアクションが、観光MaaSの推進だ。

日本の地方にある多くの観光地は、1つの名所だけで成り立っているわけではない。さまざまな観光スポットを含めて1つの観光地として成立している。しかし、地方の観光地ではスポット間をめぐることができる公共交通が存在しないケースがある。







こうした状況だと、観光客が各スポットをスムーズに周遊することはできず、1人当たりの観光消費額は低めに推移する。

しかしもし観光MaaSを推進し、さまざまな交通手段を組み合わせ、観光客が自由にそのエリアを周遊できるようになったらどうだろう。訪れる観光スポットやお土産店、飲食店の数だけ観光消費の機会が増えることとなり、その地元に落ちるお金は大きくなっていく。

こうした観点もあり、「観光型MaaS」の実証実験は盛んに実施されるようになってきている。代表的な取り組みとしては「Izuko」や「setowa」などがあるが、今後も長崎や東北で広域MaaSの取り組みが新たに始まる。

■観光型MaaS「Izuko」は第3フェーズ

東急とJR東日本、伊豆急行の3社は2019年から観光型MaaS「Izuko」に取り組み、フェーズ1・2を経て、2020年11月から2021年3月までフェーズ3を実施した。

フェーズ3ではエリアやデジタルフリーパスのエリアを拡大し、従来から対象だった鉄道やバスだけでなくフェリーも利用できるようになった。伊豆の魅力を体験できるコンテンツを作成し、観光施設や観光体験などの周遊スポットも125カ所に増やした。

決済方法はクレジットカードに加え、モバイルSuicaや楽天ペイも使用できるようになった。フェーズが進むごとに着実に機能やサービスを拡充しており、本格展開が近いと言われている。

■JR西日本の観光型MaaS「setowa」、本格展開がすでにスタート

せとうちエリアでは、JR西日本の観光型MaaS「setowa」の本格展開が始まっている。対象エリアは、広島県全域、岡山県(倉敷市・岡山市など)、山口県(岩国市など)、愛媛県(松山市・今治市)だ。

setowaではスマートフォンで目的地までの移動手段を検索・予約・決済でき、経路の検索結果から旅の行程表も作成できる。観光施設の入館券や鉄道・バスなどの乗り放題チケットがセットになった「setowa周遊パス」を展開していることも注目されている。

【参考】関連記事としては「実証実験経て本格始動!JR西日本の観光型MaaS「setowa」」も参照。

■2021年4〜9月に東北6県で「TOHOKU MaaS」

JR東日本は、東北6県で2021年4〜9月の半年間、観光型MaaS「TOHOKU MaaS」を展開する。提供サービスとしては「旅行プランニングサービス」「リコメンド機能 」「オンデマンド交通」などのほか、移動用や体験用のデジタルチケットの販売も行う。

JR東日本は新規会員登録者数の目標を「3万人」としている。ちなみにTOHOKU MaaSの展開エリアは、青森県(青森・弘前エリア)、秋田県(秋田・男鹿・角館エリア)、岩手県(一関・平泉エリア)、山形県(置賜・庄内エリア)、宮城県(仙台・宮城エリア)、福島県(会津エリア)だ。

【参考】関連記事としては「スマホ1つで完結!?JR東日本、東北6県で観光型MaaSを実施へ」も参照。

■長崎でもゼンリンなどが「観光MaaS」の実証実験を開始へ

長崎県や長崎市の協力の下、ゼンリンは2021年度から観光型MaaSの実証実験をスタートさせる。長崎市の歴史や文化などの観光情報と公共交通サービスをデジタル化し、スマートフォンアプリを介して観光客に提供するという試みだ。

ゼンリンは報道発表で地域創生への貢献に触れており、いずれは長崎の観光型MaaSを「長崎モデル」とし、全国へ展開することを目指すとしている。

■【まとめ】外国人向けの観光型MaaSも必須に!?

今後は観光MaaSに力を入れているエリアとそうでないエリアでは、観光消費額の伸びに大きな差が出てくると思われる。

とはいえ、観光MaaSを展開したからいって、すぐに成果に結びつくわけではない。実証実験や利用者へのアンケートを重ね、サービスとしての質をブラッシュアップし続けることが重要だ。

【参考】関連記事としては「MaaSとは?2020年代に実用化!意味や仕組みまとめ」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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