つくばスマートシティ協議会は、2020年度の国土交通省スマートシティモデル事業の採択を受け、人の移動を促進する「スマート・コミュニティ・モビリティ」の実証実験を2021年2月27〜28日に実施した。
つくばスマートシティ協議会は「つくばスマートシティ」の実現を目指し、産学官金が連携して事業を推進していくために2019年に設立された団体だ。
実証実験では、自動運転車と低速型パーソナルモビリティ(電動車いす)を連携させ、つくば市内の公園から筑波大学附属病院までの移動サービスを提供した。高齢者などのいわゆる「交通弱者」と呼ばれる人々の移動や外出の促進を図るのが目的だ。
具体的には、出発地点から病院までを自動運転レベル2(部分運転自動化)の車両で移動し、病院内の診察受付機まではパーソナルモビリティに乗り換えて移動してもらった。
■自動運転分野で注目を集める企業が実証に参加
実証実験には、測量ソフト開発のアイサンテクノロジーや自動運転ソフトウェア開発を手がけるティアフォー、保険大手の損害保険ジャパンなどが参加した。いずれも自動運転領域で注目を集めている企業だ。
アイサンテクノロジーは高精度3Dマップを作成し、自動運転走行の統括を担った。同社は自動運転にいち早く目をつけて取り組みを行ってきた経緯があり、2020年4月には取り組み強化に向け、名古屋市内に新拠点を開設したことでも知られる。
ティアフォーは自社開発する自動運転OS(基本ソフト)「Autoware(オートウェア)」と遠隔モニタリングシステムを提供し、自動運転車の走行支援を行った。Autowareは国内外数百社に導入されているオープンソースの自動運転OSだ。
損害保険ジャパンは自動運転に関するリスクアセスメントを実施するなどした。同社の最近の取り組みとしては、2021年2月に「自動運転車向け遠隔見守りサポートアプリ」を新たに開発したことが発表されている。
■自動運転車×パーソナルモビリティの可能性に期待
高齢化が加速する日本において、住宅地から病院内の受付まで乗り物を乗り継いで移動できるサービスは、今後より重宝されるようになりそうだ。自動運転車×パーソナルモビリティの可能性に期待したい。
【参考】関連記事としては「自動運転バスに乗ってフィットネスへ!WILLER、高齢者などの運動不足支援」も参照。