ホンダが自動運転レベル3車両を3月5日発売!新型「LEGEND」がデビュー

高速道路渋滞時にシステムが運転操作



出典:ホンダプレスリリース

本田技研工業株式会社(本社:東京都港区/代表取締役社長:八郷隆弘)=ホンダ=は2021年3月4日、日本で昨年解禁された「自動運転レベル3」の技術を搭載する新型「LEGEND(レジェンド)」を5日に発売すると発表した。

ホンダは日本で初めて自動運転レベル3(※国の呼称で言うところの「条件付自動運転車 ※限定領域」)の型式指定を国から受け、これまでレベル3搭載車の発売時期を「2020年度内」としていた。結果的に、その言葉通りの発表となった。


当初の販売台数は100台で、リースでの取り扱いとなる。車両価格は税込1,100万円とされている。

■Honda SENSING Eliteの機能は?

新型LEGENDでは、レベル3の技術を「Honda SENSING Elite」(ホンダ・センシング・エリート)として搭載し、高速道路渋滞時など一定の条件下でシステムが運転手に代わって運転操作を行うことが可能になる。

自動運転時の車両制御のために、高精度3次元(3D)地図や全球測位衛星システム(GNSS)の情報を使い、カメラやセンサーを駆使して車外では360度センシングを、車内では運転手モニタリングを行う。

認知・予測・判断は「メインECU」(電子制御ユニット)に担わせ、「アクセル、ブレーキ、ステアリングを高度に制御して上質でスムーズな運転操作を支援します」(報道発表)としている。


ちなみにHonda SENSING Eliteでは、「緊急時停車支援機能」や「ヒューマン・マシン・インターフェイス(HMI)」も搭載されているという。

■日本でも解禁された「自動運転レベル3」とは?

自動運転レベル3は一定条件下、例えば高速道路上において制限速度を下回る速度で走行する際など、自動運転システムごとに設定されたODD(運行設計領域)において、ドライバーに代わってシステムが運転タスクを担う。

ただし、ODD内においてもシステムが自動運転を継続困難と判断した際は、ドライバーが速やかに手動運転を行わなければならない。

国連の自動車基準調和世界フォーラム(WP29)において2020年6月に成立した国際基準では、乗用車の自動運行装置(レベル3)について「高速道路等における時速60キロ以下の渋滞時等において作動する車線維持機能に限定した自動運転システム」としており、当面の間はこれが事実上のODDの限界となる。


実用性の観点から言えば疑問符が付きそうだが、まずは安全性を重視している格好だ。

日本では法改正で2020年4月にレベル3が解禁

国内では、レベル3を実現する「自動運行装置」を定義した改正道路運送車両法、レベル3による公道走行ルールを定めた改正道路交通法が、それぞれ2019年に成立し、2020年4月に施行された。

自動運行装置は、自動車の運行時の状態や周囲の状況を検知するためのセンサーと、そのセンサーから送信された情報を処理するためのプログラムなどを主たる構成要素とする装置で、「ドライバーの操縦に係る認知、予測、判断及び操作に係る能力の全部を代替する機能を有し、かつ作動状態の確認に必要な情報を記録するための装置を備えるもの」と定義された。

一方で道路交通法では、自動運転装置を使用して自動車を用いる行為も「運転」に含まれる旨を規定したほか、使用するドライバーの義務や作動状態記録装置による記録の規定、システム作動時における携帯電話使用等禁止規定の適用除外などが新たに定められた。

【参考】関連記事としては「ついに幕開け!自動運転、解禁日は「4月1日」」も参照。

レベル3で許容されるセカンダリアクティビティは?

では、レベル3による自動運転時、ドライバーには運転以外の行為(セカンダリアクティビティ/セカンドタスク)がどこまで許容されるのか。

法律上明らかとなっているのは、「画像表示用装置に表示された画像を注視しないこと」とする規定の除外のみだ。これはスマートフォンやカーナビなどの使用を可能とするものだ。

また、自動運行装置が使用条件を満たさなくなった際、直ちにそのことを認知するとともに、その自動運行装置以外の装置を確実に操作することができる状態にあることも定められているため、居眠りなどは厳禁となる。

■【まとめ】レベル3時代の幕開けをホンダ・レジェンドが飾る

ホンダは新型LEGENDの発表で、レベル3時代の幕開けの「代名詞」となったと言える。今後は他社の動向に注目だ。

現在、独ダイムラーやBMW、中国勢なども自動運転レベル3の量販に向けた動きを強めており、2021年中に複数のレベル3車両が市場に投入され、2022年にはさらに拡大していく見込みだ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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