2018年からスタートした静岡県の「しずおか自動運転ShowCASEプロジェクト」が、2020年度も引き続き継続中だ。
このプロジェクトは、自動運転を活用した移動サービスを導入することで、運転手不足による路線バスの撤退や過疎地域の高齢者の移動、公共交通のICT化の遅れなど、地域交通の課題を解決することを目指すものだ。
当初はプロジェクトの期間が2020年度までの予定だったが2024年度まで延長された。このことから、静岡県が他の自治体以上に自動運転に対して力を入れていることが分かる。
静岡県のプロジェクトの実験地区としては、過疎部とされる松崎町、郊外部とされる下田市、都市部とされる沼津市などが挙げられる。2019年度もすでに実証実験が行われていて、2020年度はこれまでの実証実験で明らかとなった課題の解決などに取り組む。
■2020年度はまず松崎町で実施、乗用車タイプによる自動運転走行
2020年度の実証実験は、まず松崎町で実施される。松崎町を含む西伊豆沿岸地域は過疎化・高齢化が進んでいる地域で、現在は町による自主運行バスが毎時1本程度運行しているが、乗務員の不足などの問題で継続運行が困難となっている。
実証実験では自動運転走行による安全な移動サービスの実現の可能性を検証する。2020年11月17日から11月20日まで4日間のテスト走行を行い、11月24日から10日間、自動走行を行うという。
2019年度の実証実験ではアンケートで乗車定員が少ないという声があり、前回使われた超小型モビリティではなく、乗用車タイプによる自動運転走行を行う。車両はレクサスRXを使用予定だという。
実証実験では具体的には、電柱や樹木の枝葉などを障害物と認識して車両が停車しないよう電柱や樹木の情報もデジタルマップに載せたり、自動運転への切り替えなどの状況が乗客に分かりやすいよう車内にモニターを設置したりするという。
▼しずおか自動運転ShowCASEプロジェクト令和2年度実証実験計画
https://www.pref.shizuoka.jp/kensetsu/ke-570/documents/20200807_keikakusho.pdf
■下田市と沼津市でも順次実証実験がスタート
郊外部の下田市、都市部の沼津市でも順次2020年度の実証実験が行われる予定だ。
例えば下田市では、観光客と地域住民の移動をより快適にするラストワンマイルの移動手段の整備が求められており、これまでの実証実験では路肩駐車の追い抜きや右折が困難だったことから、2020年度は車両を遠隔で監視するとともに追い抜き判断を遠隔で実施する。
過疎地域だけではなく、都市部や観光地でも交通課題を抱える静岡県。県をあげて自動運転技術で地域交通課題を解決すべく行う取り組みは、地域交通で悩む他地域のロールモデルとなりえそうだ。
ちなみに静岡県ではトヨタのWoven City計画が動き出していることにも注目で、県内の自動運転の取り組みが今後さらに活発化していくことは確実だ。
【参考】関連記事としては「トヨタ社長、Woven City着工日「2月23日にしたい」 自動運転など向けに地上に3本の道 決算会見」も参照。