自動運転技術を開発する中国のスタートアップ企業WeRide(文遠知行)は2020年7月17日までに、中国で初めてとなる完全無人での自動運転の公道実証をスタートしたことを発表した。
中国メディアの報道によると、これまでの自動運転の実験は安全を確保するため運転席に「安全員」を乗せて実施されていた。
超高速通信が可能な次世代通信規格「5G」を活用することで、想定外の事態に直面したときは、管制センターの担当者が遅延がほとんどない遠隔操作で対応することが可能になったようだ。例えば想定外に道路が閉鎖されているとき、担当者が遠隔で運転操作を行うようだ。
WeRideは、本社がある広東省広州市から指定地域で公道実験を実施する許可を得て、実験をスタートしているという。
■中国で自動運転開発をリードするスタートアップ
WeRideは「自動運転レベル4」(高度運転自動化)の技術開発に特化した企業で、中国の有力スタートアップの1社に数えられている。2017年に米シリコンバレーで創業したあとすぐ本社を中国広州開発区に移転し、中国市場向けにレベル4車両の開発を進めている。
安全員を乗せた状態での自動運転タクシーの実証実験をこれまでに進めてきて、自動運転車500台を使い、走行距離は累計で500万キロにも上っている。中国のタクシー大手Baiyun Taxi Groupと合弁企業「WeRide RoboTaxi」を設立したことでも知られている。
WeRideには、ルノー・日産自動車・三菱自動車が設立した戦略的ベンチャーキャピタルファンドが3000万ドル(約32億円)を出資しており、同社の企業価値は既に39億元(約600億円)規模だとされている。
■中国のライバルたちも戦線恐々!?
このように自動運転事業に積極的なWeRideだが、中国にはライバルも多い。インターネット大手のBaidu(百度)や配車アプリ最大手のDidi Chuxing(滴滴出行)、同じくスタートアップのPony.ai(小馬智行)などだ。いずれも自動運転の実証実験に取り組んでいる。
そんな中での今回のWeRideの「完全無人」の公道実証は、他のライバル企業たちを戦線恐々とさせるものと言えそうだ。他社の今後の動向が気になる。
【参考】関連記事としては「中国×自動運転、最新動向まとめ ユニコーンも表舞台へ」も参照。