世界中が新型コロナウイルスの蔓延に伴う自粛ムードの中、いち早い感染拡大の終息気配漂う中国で、「あの企業」がこの機に自動運転タクシーで海外企業を出し抜こうと、仕掛けを打ってきた。
あの企業とは、自動運転開発スタートアップである「AutoX(裹動智駕)」社だ。中国スタートアップ勢の中でも急成長ぶりがめざましく、中国の自動車メーカーや政府とも連携し、自動運転業界でも高い注目度を誇る。
記事の目次
■AutoXが取り組む無料の自動運転タクシーとは
人民網日本語版が現地メディアの報道として伝えたところによると、アリババの傘下で配車アプリサービスを提供する高徳打車とAutoX社が事業提携を発表し、中国・上海市で無人の自動運転タクシーである「ロボタクシー」の無料体験の募集を開始したという。
ロボタクシーの配車方法は、日本でのアプリによる配車と同様のようだ。ユーザーが携帯端末で出発地と目的地を入力すると、配車が完了する。注文を受けたロボタクシーは乗客が指定した出発地に出向き、走行中は信号機や歩行者、他の車両を識別しながら、安全に目的の場所まで乗客を送り届けてくれるらしい。
【参考】関連記事としては「自動運転タクシーの実現はいつから? 料金やサービスは?」も参照。
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■2016年創業のAutoX、アリババなどから資金調達
AutoX社は2016年にシリコンバレーで設立されたスタートアップで、アリババが出資していることでも知られる。中国のファンドから数十億円の資金調達を行なっていることも明らかになっており、同社の技術を業界でトップレベルと評価する声も少なくない。
同社は現在は香港と米カリフォルニアに拠点をおいている。CEOの肖健雄(シャオ・ジアンシャオ)氏は米プリンストン大学の元助教授で、プリンストンコンピュータビジョン&ロボティクスラボの創設ディレクターを務めた人物であるという。
■2019年9月、完全自動運転のロボタクシーで実証
2019年9月には上海市と提携して完全自動運転のロボタクシーを100台使った実証実験を行い、2020年1月には、FCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)と提携し、中国をはじめとしたアジア諸国でロボタクシーを展開すると発表している。
また、中国の6大国有自動車集団の1社である「東風汽車」をはじめとした複数の中国メーカーに自動運転技術を提供しているほか、タクシー会社や物流ソリューション企業などとも提携して、自動運転車を使ったサービスの展開を進めているようだ。
また中国メディアの36Krによれば、上海の自動車産業パークにある「自動運転オペレーションビッグデータセンター」の稼働を既に2020年4月から開始し、「アジア最大の自動運転センター」と注目を浴びている。
■【まとめ】コロナで攻めの取り組みを展開する中国企業たち
中国では、食料・医薬品の配達や消毒剤散布、パトロールロボなどでいち早く自動運転技術が活躍している。このピンチをチャンスととらえ、攻めの取り組みを展開している企業が多い印象だ。
AutoXもその一社だ。終息ムードがまだの海外各国の企業が足踏みしている中、この機に他社を出し抜こうと攻めの戦略を展開しているように見える。
【参考】関連記事としては「皮肉にも新型コロナが気付かせた自動運転の有用性 中国での活用方法は?」も参照。