中国の自動車メーカー大手・広州汽車集団(GAC)グループの自動車工学研究所(GAC研究所)と、同じく中国企業のシステム開発企業サンダーソフト社は、自動車のコネクテッド技術の発展を促進するために「インテリジェントカーソフトウェア技術共同イノベーションセンター」を設立したと、2020年3月11日までに発表した。
両社は、2016年からコネクテッド関連技術の共同開発に取り組んでおり、既に開発の成果がGACの販売車種などに広く導入されている。今回新たなセンターを設立することにより、これまでのコネクテッド関連技術の開発をさらに加速させたい考えとみられる。
今回のセンター設立に関してGAC研究所の王秋景社長は「サンダーソフトはGACのオープンイノベーション構想と発展ニーズと一致します」と述べ、サンダーソフトの趙鴻飛会長は「GAC研究所と戦略的な協力を行い、両社の優れたリソースを生かしたい」としている。
GACグループは「ADiGOインテリジェント・ドライビング・コネクテッド・エコシステム」という独自のシステムを開発しており、GAC研究所はこうしたシステムの研究開発の中核として、自動運転システムや車両の電動化、デジタル化などに取り組んでいる。
サンダーソフト社は2008年に設立された北京に拠点を構える企業だ。携帯電話向けOS(基本ソフト)「Android」などに関連した開発実績があり、現在は車載やIoT領域にも手を広げているようだ。ドローンやロボットなどの開発企業に対しても、技術提供などを通じた支援をしている。
■GACグループ、自動運転への取り組みは?
GACグループは2018年11月に中国初とされる自動運転タクシーの実証実験を広東省広州市で行うなど、自動運転領域に力を入れてきた。2017年11月にはトヨタグループのデンソーと戦略提携覚書を交わし、自動運転技術など次世代モビリティ分野において協力を進めることを発表している。
グループ子会社のGAC Motorは、自動運転レベル2(部分運転自動化)技術を搭載したセダン新型車「GA6」を2019年4月に発表しており、音声命令で動作させることができる「AI(人工知能)運転助手」という機能を搭載したことでも話題になった。
GACは、中国の自動車業界において「中国第一汽車」「東風汽車」「上海汽車」の3大グループに続く大手企業だ。こうした大手企業はいずれも自動運転技術の開発に積極的で、そのほかにも中国では、WeRide(文遠知行)やPony.ai(小馬智行)など、自動運転業界を賑わすスタートアップが多数存在する。
こうした競争相手が多い中でGACグループが存在感を高めていくためには、今回設立を発表した新センターでの研究開発がカギとなりそうだ。
【参考】関連記事としては「中国GAC Motor、「AI運転助手」実装のセダン新型車「GA6」を発表 自動運転レベル2搭載」も参照。