トヨタ 豊田市の工場でGoogle用無人タクシーを生産へ 市内ではすでに別の自動運転実証も

日本の次は英国へ



bZ4X=出典:トヨタプレスリリース

自動車大手のトヨタは10月30日、米Google系の自動運転開発企業ウェイモ(Waymo)の自動運転ロボタクシーに使う電気自動車bZ4X(ビーゼットフォーエックス)を、愛知県豊田市の高岡工場で生産すると発表した。ベース車両の組み立てから、ウェイモの自動運転用ハードウェアの搭載までを同工場で行い、2027年に日本で試験・検証を含む初期運行を始める。

ただし、これは商用サービスの開始を意味しない。運行地域や台数、商用化の時期は明らかにされていない。一方、同じ豊田市では9月14日から、市が実施主体となる別の自動運転実証が走っている。米自動運転開発企業May Mobility(メイ・モビリティ)の技術を搭載した車両で、自動運転レベル2の走行を検証する取り組みだ。両者は別の取り組みであり、ウェイモの車両が豊田市を走ると発表されたわけではない。


編集部おすすめサービス<PR>
自動車保険 スクエアbang!(一括見積もり)
「最も安い」自動車保険を選べる!見直すなら今!
新車定額!リースナブル(車のカーリース)
お好きな車が月1万円台!頭金・初期費用なし!
車業界への転職はパソナで!(転職エージェント)
転職後の平均年収837〜1,015万円!今すぐ無料登録を
タクシーアプリは「DiDi」(配車アプリ)
クーポン超充実!「無料」のチャンスも!
編集部おすすめサービス<PR>
スクエアbang!
「最も安い」自動車保険を提案!
リースナブル
新車が月々2万円から!
パソナキャリア
転職後の平均年収837〜1,015万円
タクシーアプリDiDi
クーポンが充実!「乗車無料」チャンス
DodaX

■豊田市の高岡工場で、ウェイモの自動運転ロボタクシーを作る

トヨタは高岡工場で、電気自動車bZ4Xのベース車両を組み立て、続けてウェイモの自動運転用ハードウェアを搭載する。一連の工程を同じ工場で行う体制だ。

両社の協業は、2025年4月に結んだ基本合意が土台になっている。当時の合意は、自動運転技術の開発と普及に向けた戦略的パートナーシップを掲げ、トヨタ傘下でソフトウェア開発を担うWoven by Toyota(ウーブン・バイ・トヨタ)も検討に加わった。今回の発表で、使用する車両と生産拠点が具体的に決まった。

トヨタは、国内で生産する量産車を活用した日本初の完全自動運転タクシーサービスの実現に向けた取り組みだと位置づけている。日本初という表現は、トヨタとウェイモ側の説明である。

【自動運転ラボの視点】
量産車の工場でロボタクシー向けのハードまで載せる体制は、自動運転が実証から量産へ移る転換点と言える。ウェイモの車両供給という形で、日本のものづくりが世界の自動運転タクシー市場にどう関わるかが今後の焦点だ。

【参考】関連記事としては「トヨタ、ロボタクシーに「いきなり参入」!日産・ホンダはびっくり」も参照。


■2027年に日本で初期運行 bZ4Xが担う役割と海外展開

トヨタとウェイモは、2027年に日本で、bZ4Xを使った試験・検証を含む初期運行を始める。その後は英国をはじめ、ウェイモがサービスを展開する地域へ順次導入する計画だ。ウェイモのドミトリ・ドルゴフ共同CEOは、まず右ハンドルの日本と英国から始める考えを示した。

車両の仕様も一部変更する。後席の足元空間を確保し、自動開閉ドアや電動開閉式バックドア、室内間接照明などを採用する。安全性に加え、乗り降りのしやすさや快適性を重視した設計だ。

ただし、2027年に一般の利用者向けの商用サービスが本格化するわけではない。ドルゴフ氏は、初期運行から商用運行へ段階的に進める方針を説明した。運行地域と台数、商用化の時期は未公表で、トヨタの中嶋裕樹副社長は、初期運行は少数の車両で行うと説明している。

ウェイモは東京で、ジャガー(Jaguar)の電気自動車I-PACE(アイペイス)を使った試験走行をすでに進めている。ロイターによると、ドルゴフ氏は、2027年にこの車両を使った試験的な運行も続ける計画だと説明した。bZ4Xによる初期運行は、これと並行して進められる。


一番気になるのは、bZ4Xを使った日本でのロボタクシーサービスが、既存の座組とは別のものになるのかという点だ。ウェイモは東京での試験走行を、タクシー大手の日本交通、タクシーアプリ「GO」を運営するGOと組んで進めている。bZ4Xがこの日本交通・GO陣営との座組で使われるのか、それとも米国のようにウェイモが独自にロボタクシーサービスを展開する際の車両となるのかは明らかにされておらず、今後の発表が注目される。

ドルゴフ氏はトヨタの交通事故ゼロという目標に共感すると述べ、中嶋副社長は、安全技術は普及させてこそ社会に貢献できるとの考えを示した。両社は、Woven by Toyotaとともに、ウェイモの実運行で得られる知見やデータを、より多くの道路利用者が安全に移動できる環境づくりにどう生かすかも検討する。個人所有のトヨタ車に自動運転技術を載せる将来像も、引き続き探る方針だ。

■一方の豊田市では、自動運転レベル2の実証がすでに走っている

豊田市は9月14日に自動運転の実証を始めた。市街地、山村、郊外という異なる交通環境の3ルートで、走行の安全性や運用上の課題を検証する。実施主体は豊田市で、国土交通省の補助事業に採択された。

使うのは、米自動運転開発企業May Mobility(メイ・モビリティ)の自動運転システムを搭載した車両だ。市街地と山村では、米国製のミニバン「シエナ(Sienna)」をベースに改造した車両を使う。郊外では、トヨタの次世代モビリティe-Palette(イーパレット)をベースにした車両が走る。乗務員が乗車する自動運転レベル2の運行で、利用は無料だ。

ルート期間区間車両と定員
市街地2026年9月14日から2027年2月26日まで豊田市駅から豊田スタジアム東シエナ、定員4名
山村2026年11月上旬から2027年2月26日まで道慈小学校、小原中部小学校、本城小学校を結ぶシエナ、定員4名
郊外2027年2月上旬から下旬まで名鉄三河線土橋駅から愛知環状鉄道三河豊田駅e-Palette、定員7名

 

出典:May Mobilityプレスリリース

市街地ルートは決まった時刻に決まった道を走る定時定路線で、ソフトバンクとトヨタなどが出資するMONET Technologies(モネ・テクノロジーズ)のアプリから、乗車時刻の5分前まで予約できる。山村ルートは11月上旬に、郊外ルートは2027年2月に始まる予定だ。

背景には、運転士不足で地域の移動サービスを維持しにくくなっている現実がある。実証では、技術的な安全性に加え、遠隔監視や運行支援の仕組み、地域公共交通としての運用性や事業性、社会受容性を検証する。将来の自動運転レベル4運行を見据えた運用モデルを確かめる狙いだ。

実証には多くの企業が参画している。NTTグループで自動運転の導入・運用を支援するNTTモビリティがe-Paletteの提供と運用支援を担い、MONETがシエナ、予約アプリ、運行管理と遠隔監視のシステムを提供する。May Mobility Japanは自動運転ソフトウェアを担当し、名鉄バスと豊栄交通が運行支援、損害保険会社などが遠隔監視支援や安全性評価を担う。

【参考】関連記事としては「愛知の米国系ロボタクシー、やっぱり「トヨタ絡み」と判明」も参照。

■ウェイモ向けbZ4Xと豊田市の実証の違い

豊田市で生産されるウェイモ向けのbZ4Xと、豊田市内で走る実証の車両は、別の取り組みだ。両者の主な違いは以下の通りだ。

項目トヨタとウェイモ豊田市の実証
位置づけ完全自動運転タクシーサービスの実現に向けた取り組み地域公共交通としての運用性などの検証
自動運転レベル自動運転レベル4自動運転レベル2
自動運転技術ウェイモMay Mobility
ベース車両bZ4Xシエナ、e-Palette
実施主体トヨタとウェイモ豊田市
時期2027年に初期運行2026年9月14日から2027年2月まで
運行地域未発表豊田市内の3ルート

ベース車両の生産地も異なる。ウェイモ向けは国内の高岡工場で生産するbZ4Xで、豊田市の実証で使うシエナは米国製のミニバンをベースに改造した車両だ。どちらもトヨタの車両を使う点は共通している。

繰り返しになるが、ウェイモの車両が豊田市を走ると発表されたわけではない。トヨタとウェイモは運行地域を明らかにしておらず、豊田市の実証で使われるのはMay Mobilityのシステムだ。

■ウェイモ向け自動運転ロボタクシーの生産と豊田市の実証の今後

トヨタは高岡工場でウェイモ向けの車両を生産し、その車両は日本での試験・検証を経て、英国など海外へ順次導入される計画だ。一方、同じ街の公道では、運転士不足に悩む地域の足を守るための実証が走る。

豊田市では、海外にも導入される自動運転ロボタクシーの生産と、地域公共交通を支える自動運転の実証が同時に進むことになる。両者は目的も技術も異なる。NTTモビリティは、実証で得た知見をもとに、豊田市での社会実装に向けた導入・運用モデルの高度化に取り組むとしている。

ただし、現時点で走るのは自動運転レベル2の実証だけで、ウェイモ車の運行地域や台数は未発表だ。2027年に始まるのは、試験・検証を含む初期運行だ。今後の動向に注目したい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




関連記事