日産セレナ「自動運転車」が東京で走行へ 9月からスタート

国内の実証実験は日産が先行か



出典:日産公式サイト

日産セレナをベースにした自動運転開発車両が、令和8年9月上旬から東京でテスト走行を始める。東京都は、日産自動車株式会社と三菱商事株式会社が出資するモビリティ事業会社Moplus株式会社を、自動運転サービスの導入に向けた技術検証事業の受託事業者に選定した。これにより、日産セレナをベースにした自動運転開発車両が、多摩市諏訪・永山地区で令和8年9月上旬からテスト走行を始める。

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■日産セレナ「自動運転車」が9月上旬から東京の多摩市で走行開始

東京都は2026年9月4日、Moplus株式会社を「令和8年度自動運転サービス導入推進に向けた技術検証及び安全性確保に関する調査検証事業」の受託事業者に選定したと発表した。同事業では日産自動車が開発した「セレナベースの自動運転開発車」を使い、多摩市諏訪・永山地区で令和8年9月上旬からテスト走行を開始する予定だ。


走行時のレベルは「自動運転レベル2」にあたる。運転席にドライバーが乗車する運転支援段階であり、無人での走行ではない。東京都自身も報道発表で「自動運転車両」という表現を用いているが、読者は完全な無人運転と混同しないよう留意したい。

多摩市はニュータウンとして開発された住宅地が広がり、道路には起伏や複雑な交差点が多い。今回の実証は、そうした条件下での走行技術の検証を主眼に据えている。

【自動運転ラボの視点】
自動運転タクシー市場の実装は、自治体とメーカー、地域の交通事業者が連携する体制づくりが鍵を握る。多摩市の取り組みはレベル2の実証にとどまるが、地元密着型のモデルとして今後の展開を占う試金石といえるだろう。

■日産・三菱商事が仕掛ける地域モビリティ

事業を受託したMoplus株式会社は、2025年3月に設立された会社である。日産自動車と三菱商事が50パーセントずつ出資する合弁会社で、本社は東京都千代田区に置く。代表取締役CEOは柳瀬賢氏、COOは莊司茂雄氏が務める。


同社は「モビリティで社会に活力をプラスする」ことを掲げ、有人・無人のモビリティサービスやカーシェアリング、EVを活用したエネルギーマネジメント事業などを展開する方針を示している。地域交通の担い手不足や利用者減少といった課題を、新たな技術とサービスの仕組みで解決することを目指す。

Moplusはすでに神奈川県横浜市のみなとみらいや桜木町、関内エリアで、日産セレナをベースにしたレベル2の自動運転車両を使ったモビリティサービスの実証を進めている。初年度は5台から始め、次年度には最大20台まで拡大する計画だという。多摩市の取り組みは、この横浜での実証を他地域へ広げる動きの一つとして位置づけられる。

【参考】関連記事としては「日産プロパイロットの自動運転機能・性能は?搭載車は?」も参照。

■京王自動車が加わる「地元連合」、舞台は住宅密集地と起伏の多い道

今回の実証は、東京都、多摩市、日産自動車、京王自動車株式会社、Moplus株式会社という複数の主体が役割を分担する体制で進められる。多摩市が自治体として関わり、日産自動車が車両を提供し、京王自動車が運行を支援する。


京王自動車は京王グループのタクシー事業者で、多摩市を含む沿線地域で長くタクシー事業を営んできた。運行支援の具体的な業務内容は公表資料に詳しい記載がないが、地域に根差した交通事業者が加わることで、地元の道路事情や利用者ニーズを踏まえた運行体制を築く狙いがあるとみられる。

実証の舞台となる諏訪・永山地区は、多摩ニュータウンの一角として開発された住宅密集地で、起伏や複雑な交差点が多い。こうした条件は自動運転技術にとって難易度の高い環境であり、実際のまちなかでどこまで安定した走行ができるかが焦点になる。

■具体的な検証プロセス

具体的な検証プロセスとしては、まずシミュレーションを活用した事前の安全確認を行う。そのうえで、起伏や複雑な交差点といった道路環境に適合するためのテスト走行を重ね、現地でのリスクアセスメントと遠隔監視の運用検証を進める。

テスト走行が完了した後には、地域住民などを対象とした一般試乗を実施する予定だ。ただし具体的な時期や参加方法は、現時点で後日発表とされており、詳細はまだ明らかになっていない。

多摩市はすでに令和7年度、鶴牧循環ルートで自動運転バスの実証を行い、自動運転走行割合96.8パーセントという実績を残した。令和9年度には一部区間で自動運転レベル4運行を目指すとしている。今回のセレナによる実証とは別の事業だが、多摩市が自動運転の社会実装に積極的な自治体であることを示す文脈といえるだろう。

【参考】関連記事としては「小池都知事 都内の自動運転バス導入拡大に意欲」も参照。

小池都知事 都内の自動運転バス導入拡大に意欲

■日産セレナが踏み出す自動運転社会実装への一歩

東京都、日産自動車、地域の交通事業者という三者が連携する今回の枠組みは、自治体主導の実証にメーカーと地元事業者が加わる一つのモデルケースといえる。日産セレナによるテスト走行は9月からスタートするが、走行するのはあくまで運転手が乗車するレベル2の車両であり、無人の自動運転タクシー市場が多摩市で一気に立ち上がるわけではない。

それでも、Moplusが横浜で積み重ねてきた実証の知見を多摩市に展開する動きは、自動運転サービスが特定のエリアにとどまらず、複数の地域へ広がっていく過程を映し出している。住宅密集地や起伏の多い道路という難条件での検証結果は、今後の自動運転タクシーの実用化に向けて重要な知見になっていくだろう。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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