
中国で、自動運転機能搭載の車両でも「責任はドライバーにある」という判決が出た。
あるドライバーが酒に酔った状態で自動運転走行し、眠りこんで車道の中央に停車していた事件があった。これを受けて中国の最高裁判所は、自動運転技術があったとしても全ての責任を負うのはドライバーだという判断を下した。
これまで、各国で自動運転車の責任の所在については何度も議論されてきている。今回の結果により、中国では類似の事案を判断する際にこの判決を参照することになる。いわゆる今回の判断は重要な「判例」となったわけだ。
【参考】関連記事としては「日本では自動運転はできる?規制や法律は?」も参照。
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■中国での判決とは
中国・浙江省で、あるドライバーが自動運転機能搭載の自動車に乗っていた。ドライバーはハンドルを握っているように見せかける偽装をした状態で、車を走行状態に設定した。その後、助手席で眠り込み、道路の中央で停車しているのを警察に発見された。
2025年9月、この件についての判決が下された。自動運転装置に完全に依存していたとして、ドライバーに懲役刑および罰金刑が科されるという結果になった。
その後2026年2月に、中国の最高人民法院が「Guiding Case(指導案例)」を公表したが、その中に「運転支援機能を作動させた後であっても、道路の安全確保については依然として運転者が責任を負う」という内容が含まれていることが分かった。「自動車に搭載された運転支援システムは、主要な運転主体としての運転者に取って代わることはできない」とも述べられているようだ。
Guiding Caseとは、中国の最高裁である最高人民法院が選定し公表する、全国の裁判所が判断の参考にすべき重要判例のことだ。あくまで「参照すべきもの」という位置づけであり法的拘束力は限定的ではあるが、強い影響力を持つ。そして地方ごとに判断がばらつかないよう、全国的な統一基準を示す役割を担っている。
これにより今後中国では類似事案について、この判決を参照することになる。つまり「自動運転機能が作動中でも責任はドライバーにある」ということが明文化されたということだ。
■「機能をよく理解し正しく使うこと」が重要
そもそも今回の事例は、ドライバーがハンドルに手を置いているよう偽装し、自動運転走行を行ったことが発端になっている。この車の車種や自動運転システムについては明らかになっていないようだが、ドライバーが運転席に座り、かつハンドルから手を離してはいけないとなっていることから、レベル2のADAS(先進運転支援システム)が搭載されていたと予想される。
現在市販されている一般車で、自動運転走行中に助手席で眠ることができる車種はないはずだ。なお米国ではEV(電気自動車)大手テスラが高度なADAS「FSD(Full Self-Driving)」を展開中だが、機能の過信や誤認により重大事故を招いた事例がたびたび起こっている。
今回の中国での判決も、自動運転とはいえドライバーの監視が必要なレベルだったはずで、ドライバーに責任があるのはもっともだと言える。「自動運転車」と一括りにされがちだが、どの自動運転レベルでどの程度ドライバーの介入が必要なのか、自動運転システムが搭載されていたとしても稼働していたのかどうかなど、状況がさまざま異なる。メーカー各社は、まずはADASや自動運転機能を正しく使うというドライバーの意識向上に努めることを最優先すべきかもしれない。
■中国では広告に「自動運転」を使えない
国を挙げて自動運転開発に取り組む中国だが、2025年からは「自動運転」というワードの使用を禁止する動きが出てきた。中国政府は自動車メーカーに対し、運転支援機能の広告表現に対する取り締まりを強化し、広告で「自動運転」という表現の使用を禁止することに決めたと報道されている。
2025年3月に中国スマートフォン大手Xiaomi(小米科技/シャオミ)製の自動運転車に大学生3人が乗車して走行中、高速道路上でガードレールに衝突し全員が死亡するという事故が起こったことにより、こういった動きが強まっている。
実際、テスラは中国ではFSD(直訳すると「完全自動運転」)を「Intelligent Assisted Driving」という名称に変更している。
今回の判決により、自動運転機能搭載車での走行中の事故でもドライバーが責任を負うということが全国での標準になる。では完全自動運転まで進んだ場合の責任はどうなるのだろうか。また国ごとに対応は異なるのだろうか。まだまだ黎明期と言える自動運転社会。各国で法整備を急いでいる。
【参考】関連記事としては「中国、広告で「自動運転」の使用を禁止に テスラも名称変更」も参照。













