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トヨタが出資する米スタートアップMay Mobilityがトヨタ製の車両を使い、米国内で3カ所目となる無人運行を開始した。一般市民を対象にした無人商用運行としては同社初という。
米国で主流の自動運転タクシーとは異なる、柔軟な自動運転シャトルサービスで独自路線を歩むMay Mobility。その取り組みの最前線に迫る。
記事の目次
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■May Mobilityの最新の取り組み
ピーチツリー・コーナーズで商用無人サービス開始
May Mobilityは2025年2月、ジョージア州ピーチツリー・コーナーズで初の商用無人サービスを開始したと発表した。アトランタ郊外に位置する人口4万人ほどの小都市だ。
無人運行は、アリゾナ州サンシティとミシガン州アナーバーに次ぐ3カ所目だが、サンシティなどではまだ広く一般市民に開放しておらず、誰でも利用可能な無人商用サービスとしてピーチツリー・コーナーズが初となったようだ。
同市では、2024年9月に自動運転サービス実証に着手している。同市が設立したテクノロジーパーク内の5Gインキュベーター向けエコシステムの訪問者らを対象にホテルやレストラン、小売店、オフィススペース、キュリオシティラボのイノベーション センター、市役所など8つの目的地に乗降場所を設け、セーフティドライバー同乗のもとシャトルサービスを開始した。
10月には一般公開も開始している。サービス開始から約5カ月で無人サービスへの意向を達成したようだ。
車両は、トヨタの「Sienna Autono-Maas(S-AM)」に自社開発した自動運転システムを統合したモデルを使用している。利用者はMay Mobilityのアプリで乗車予約する。平日の午前9時30分から午後3時まで一般公開しており、各車両には最大5人が乗車できるという。
May Mobilityは、引き続き市と連携しながらさらなる拡張に取り組んでいくとしており、2025年後半には配車サービス大手Lyftと提携し、アトランタ都市圏で自動運転サービスを運行開始する計画を掲げている。
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▼May Mobility Now Offers Autonomous Driverless Rides in Peachtree Corners, Georgia
https://maymobility.com/posts/may-mobility-now-offers-autonomous-driverless-rides-in-peachtree-corners/
■May Mobilityの特徴
柔軟な自動運転シャトルサービスで存在感を発揮
自動運転タクシーが主流の米国において、May Mobilityは乗降ポイントを複数カ所設定した独自の自動運転シャトルサービスで存在感を発揮し始めている。
一定エリア内において、商業施設や病院、市役所などの主要スポットを乗降場所に設定し、各スポット間の移動を可能にするサービスだ。
自動運転タクシーは、一定エリア内に無数とも言える乗降スポットを設定し、可能な限り自由度の高い移動サービスを提供する。
一方、May Mobilityの場合、乗降するのはあらかじめ設定されたスポットに限られるため、ドア2ドアの移動は難しいかもしれないが、需要の多い主要拠点を押さえ、かつエリア内にバランスよくスポットを配置すれば、十分利便性の高い移動サービスとなり得る。
メリットとして、開発のハードルを低くすることが可能になり、実装速度も挙げることができる。自動運転タクシーの場合、一定エリア内における走行経路をくまなく網羅する必要があるが、シャトルサービスであれば各ルートを押さえておけばよい。
例えばピーチツリー・コーナーズのように8カ所スポットを設定した場合、ルートの組み合わせは全56通りとなる。56通りものルートを網羅するのは大変であることに違いはないが、無数のルートが必要となる自動運転タクシーに比べれば明らかに容易だ。
ドア2ドアの移動は無理でも、エリア内の大まかな移動は可能となるため、一定レベルの需要を満たすことができる。自動運転タクシーよりも低料金であれば、自動運転シャトルでよい――とする人も少なくないのではないだろうか。
駐停車時の課題もクリアしやすい
乗降ポイントの設定そのもののメリットになり得る。乗り降り可能な場所をあらかじめ設定することで、サービスの実装が容易になるのだ。
好きな場所で乗り降り可能な自動運転タクシーであっても、指定された場所によっては駐停車された車両などにより停まることができないケースもある。場合によっては、指定ポイントから数百メートル歩かなければならないケースもあるようだ。
日本の大都市の場合、駐停車禁止場所が多く、それ以外でも路上停車している車両が多いため、苦戦する可能性が高い。数十メートル離れた場所まで歩かされるだけで印象が悪くなってしまう。
しかし、あらかじめ乗降ポイントを設定・周知することで、こうした不便な点は理解済み・織り込み済みのものとなる。また、バス停のように一般車両の駐停車を禁止することができれば、乗降時の課題をクリアできる。サービス実装が容易になるのだ。
こうした点を踏まえれば、乗降ポイントを複数設定した自動運転シャトルサービスは現実解と言える。理想は自動運転タクシーかもしれないが、自動運転技術が熟しきっておらず、社会受容性も低い創世期においては、自動運転シャトルで実用性・利便性のバランスが取れたサービスを実装し、徐々に乗降ポイントを増設して自動運転タクシーに近づけていく――といった手法が最適なのかもしれない。
■May Mobilityの概要
3都市で無人運行に着手
May Mobilityは現在、ピーチツリー・コーナーズのほか、ミシガン州アナーバー、デトロイト、テキサス州アーリントン、ミネソタ州グランドラピッズ、フロリダ州マイアミ、カリフォルニア州マルティネス、アリゾナ州サンシティでサービスを提供しているようだ。実証エリアを含めると、これまでに世界 18 カ所で 40 万回以上の自動運転ライドを提供してきたという。
前述したように、ピーチツリー・コーナーズとアナーバー、サンシティでは無人運行に着手している。
アリゾナ州フェニックス都市圏に位置するサンシティでは、2023年12月に無人運行を開始した。これが同社初の無人サービスだ。同所では同年4月にセーフティドライバー同乗のもとサービス実証を開始しており、アーリーライダープログラムのもと特定の乗客に無料でサービスを提供している。
2番目に無人運行を実現したアナーバーでは、25カ所の乗降ポイントを設けているようだ。ルートの組み合わせは600通りに及ぶ。
May Mobilityは親日家?
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May Mobilityはトヨタをはじめとした日本企業と親密な関係にあり、日本でのサービス実装も視野に収めている。
同社の創業者兼CEOを務めるエドウィン・オルソン氏は、短期間ではあるもののトヨタの北米開発拠点トヨタ・リサーチ・インスティテュート(TRI)で共同ディレクターを務めた経歴を持つ。これと並行してオルソン氏はミシガン大学で長く自動運転研究にも携わっており、この研究チームのメンバーで2017年に立ち上げたのがMay Mobilityだ。
このTRIとの縁あってか、May Mobilityは早い段階でトヨタから出資を受けることに成功している。2018年のシードラウンド、及び2019年のAラウンドでトヨタの米国投資部門Toyota Venturesから出資を受け、同年のシリーズBラウンドではトヨタからも出資を受けている。
Toyota Venturesはその後もシリーズC、シリーズD、トヨタはシリーズCに参加するなど、関与を強めている。
また、2022年にはブリヂストン、シリーズCには豊田通商や東京海上ホールディングス、SPARXグループ、未来創生ファンド、シリーズDにはNTTグループやあいおいニッセイ同和損害保険が参加するなど、日本企業との結びつきは年々強まっている。
出資以外でも、2022年6月にソフトバンクが5Gネットワークなどを活用した自動運転サービスの早期社会実装に向けMay Mobilityと業務提携契約を締結したことを発表している。
2021年には日本法人も設立しており、米国に次ぐ第2のエリアとして日本市場を有望視しているのは間違いないだろう。
MONET TechnologiesやNTTらがMay Mobilityを採用
May Mobilityが日本で初走行したのは、2021年だ。ソフトバンクとトヨタの合弁MONET Technologiesと広島県東広島市、広島大学、イズミによる小売りMaaSを自動運転車で実現するプロジェクトにおいて、May Mobilityの自動運転車両が導入された。
その後、トヨタが2024年11月から12月末にかけ、トヨタ自動車九州宮田工場敷地内で実施した「e-Palette(イーパレット)」を活用した工場敷地内の移動サービスの実証運行においても、May Mobilityの自動運転システムが使用された。e-PaletteにMay Mobilityの技術を統合し、レベル2運行を行ったようだ。
また、MONET Technologiesが2025年1月から3月にかけて東京臨海副都心(有明・台場・青海地区)の公道で実証する移動サービスにおいても、May Mobilityの自動運転車両が採用されている。
お台場エリアに設定した5カ所の停留所間を最高時速40キロでレベル2走行するサービスだ。May Mobilityの特徴と言える複数拠点間のシャトルサービスがここでも行われている。
このほか、愛知県の自動運転運行事業のもとNTTも2024年11月から翌年3月にかけMay Mobilityのシステムを搭載したシエナを導入し、名古屋市内での定期運行やNTT中央研修センタ自動運転実証環境を拠点とした実証などに取り組んでいる。
【参考】お台場におけるサービス実証については「理由不明!トヨタ系モネ、自動運転シャトルに「国産技術」搭載せず」も参照。
トヨタ製シエナが主流に
トヨタをはじめとする日本企業と親密な関係を構築するMay Mobilityの自動運転システムはさまざまな車両に統合可能だが、現在はシエナが中心となっている。
かつてはPolaris Industriesの車両を改造したモデルを使用していたが、トヨタとの連携を密にする過程でレクサスを導入し、さらにシエナの導入が本格化しているようだ。
シエナは、北米市場向けにトヨタが投入している車種で、アルファードより一回り大きいミニバンだ。これを自動運転サービス向けの戦略モデルとして位置付けたのが「Sienna Autono-Maas(S-AM)」で、May Mobilityをはじめトヨタと提携する自動運転開発企業による導入が進んでいる。
多目的用途のe-Paletteに対し、移動サービスに特化したモデルとして、今後世界各地でS-AMが活躍するかもしれず、こうした観点からも注目したい。
【参考】Sienna Autono-Maasについては「改造型の自動運転トヨタ車、米で運行エリア拡大!May Mobilityが発表」も参照。
■【まとめ】独自の自動運転シャトルサービスで日米市場を席捲?
自動運転タクシーが主流となっている米国において、独自の自動運転シャトルサービスで今後どのように存在感を発揮していくか、要注目だ。
また、日本国内での展開も今後加速するものと思われる。国内大手企業がこぞって出資・提携する強みを武器に、オンデマンドサービスの分野で一気に頭角を現すかもしれず、今後の動向に注目したい一社だ。
【参考】関連記事としては「トヨタの自動運転技術、すでに「テスラ超え」か ”実はレベル高い”との声多数」も参照。