自動配送ロボットの開発を手掛ける米Nuroが、ミニサイズの「R3」でスナック菓子などを移動販売するサービスを開始する。米カリフォルニア州とテキサス州で2024年後半から稼働させる予定だ。
Nuroは、トヨタも出資する注目の自動運転スタートアップだ。混雑した道も走行できる小型のR3の投入により、Nuroはますます配送ロボット業界で存在感を増していきそうだ。
■R3で商品が無人販売される仕組みは?
Nuroは、AI(人工知能)を活用した次世代の自動運転システム「Nuro Driver」を開発しており、これまでロボットタクシー・コンセプトの「P2」や、小型デリバリーロボット「R1」「R2」「Nuro」にこの技術を搭載し、発表済みだ。
R3の車体側面には左右に2つずつ、上に開くドアが付いている。このドアを開けると中には棚があり、スナック菓子や食料品がディスプレイできるようになっている。
R3に並べられたスナック菓子などを買う場合、ユーザーはまず事前登録によりアカウントを作ることが必要なようだ。その後、実際に商品を購入する場合は、ユーザーは車体側面に設置されたタッチスクリーンで暗証番号を入力し、ドアを開ける。ユーザーが商品をピックアップすると3Dカメラを通じてAIがそのことを確認し、ユーザーがドアを閉じると商品代金が利用者のアカウントに請求されるという流れのようだ。
■外部歩行者用のエアバッグも搭載
R3には、LiDARやレーダー、各種カメラなどが搭載されており、マッピングやAIナビゲーションソフトウェアを通じてさまざまな情報を収集する。他の車両や自転車、歩行者などを検知し、回避しながら走行できる。
一方、歩行者が密集した市街地での運用を想定しているため、外部歩行者用のエアバッグが装備されているようだ。
R3には、中国のEV(電気自動車)大手BYD(比亜迪)と提携し構築したバッテリー電動プラットフォームとパワートレインを搭載されている。1回の充電による航続距離は約100マイル(約160キロ)。R3は地元の提携店舗とその近所を往復する用途で使われるため、十分な航続距離であるとNuroは考えているようだ。
■NVIDIAのシステムを搭載
米半導体大手NVIDIAがこのほど開催したカンファレンス「GTC 2024」では、R3へのNVIDIAの集中型車載コンピュータ「DRIVE Thor」の搭載について発表された。Nuro Driverのパフォーマンスをより向上させ、安全性と信頼性を高めることが可能になるという。
Nuroは今後、運送大手のフェデックスやスーパーマーケットチェーンのウォルマートやクローガー、ドミノピザ、セブンイレブン、Uber Eatsなどと提携し、R3をさまざまな用途で活用していく予定だ。保温機能もあるようで、ピザの宅配にも適しているようだ。
■トヨタとソフトバンクも注目するNuro
Nuroは、現在のWaymoの前身となるGoogleの自動運転開発プロジェクトで活躍していた2人により、2016年に設立された。
同社はソフトバンクグループの投資部門SVFから出資を受けている。2019年の資金調達ラウンドはSVFが主導しており、報道によるとSVFから9億4,000万ドルが出資されたという。2020年のCラウンドにもSVFは参加している。
また2021年3月には、トヨタグループで先進技術の研究開発を手掛けるウーブン・プラネット・ホールディングス(現ウーブン・バイ・トヨタ)が、投資ファンド「Woven Capital(ウーブン・キャピタル)」の第1号案件としてNuroに出資することを発表した。
Nuroの今後の展開に引き続き注目したい。
【参考】関連記事としては「米Nuroと英Arm、自動運転レベル4で提携!注目の2社がタッグ」も参照。