インドで完全自動運転かもしれないトヨタ車が目撃される──。現地メディアなどの報道によれば、「自動運転の目」と呼ばれるLiDARセンサーを搭載したトヨタのクロスオーバーSUV「RAV4」が、インド国内で8番目に人口が多いプネーの公道を走行しているのが発見された。
LiDARは全部で4機設置されており、リアのフロントガラスには「ON TEST BY ARAI, GOVT OF INDIA」というステッカーが貼られていた。ARAIとは「インド自動車研究協会」のことで、トヨタとARAIが共同で自動運転の実証プロジェクトを展開している可能性が高い。
■ガッカーリ道路相は解禁に難色
インドのモディ政権は自動運転技術の実用化・普及に難色を示している。ニティン・ガッカーリ道路交通大臣は2023年12月、出席した自動車関連イベントで自動運転車をインド国内で解禁させない方針を示している。導入により人間のドライバーが職を失うことを防ぐためだ。
そもそもインド国内は道路環境が悪いエリアが多く、自動運転には向かないという見方もあったが、同相は雇用を維持するために解禁はしないという立場だ。「自動運転車を導入すれば、インド国内で約7万〜8万人の雇用が奪われる」と指摘している。
【参考】関連記事としては「インド道路相「自動運転は解禁しない」 ドライバーの雇用保護を優先」も参照。
この発言はインド国内でも広く注目されたが、そんな中でLiDAR搭載のトヨタRAV4が目撃され、インドが解禁・禁止のどちらの方向性に向かっていくのか、関心が高まっている。
■RAV4には4つのLiDARが設置
現地メディアの報道によれば、トヨタのRAV4のテスト車両は2020年と2021年に目撃されていたが、今回のようにLiDARが搭載されているのがはっきりと確認されたのは初だという。
LiDARはリーフの上、リアバンパー、フロント左のホイールウェル、そしてもう1つは反対側のオイールに設置されていたという情報がある。
現地メディアなどは「インドの道路における自動運転シナリオの実現可能性を評価するためにARAIに採用された可能性があるのでは」「ARAIはインドの交通状況から生のデータを収集し、自動運転アルゴリズムの校正や開発を行っているのかもしれない」といった予測をしている。
■自動運転車の導入可能性は出てくるのか
中国に代替する巨大市場として今注目度が高まっているインド。そのインドで自動運転車の実用化・普及が始まるかは、自動車業界にとっては非常に大きな関心事だ。
大臣からは拒否反応が出ているものの、今回のARAIとトヨタ車の実験結果によっては、導入可能性も出てくるのだろうか。引き続き、注目だ。
【参考】関連記事としては「自動運転とインド」も参照。